ソロ情シスが退職した場合の3つのリスク|よくある退職理由や対処法も解説

情報システム部門は、IT化の進んだ現代の企業にとって欠かせない存在です。しかし、IT人材の獲得に苦戦している企業は多く、いわゆる「ソロ情シス」の状態に陥っているケースも少なくありません。ソロ情シスは担当者が退職した場合のリスクが高く、社内全体の業務に悪影響を及ぼしかねません。そこで本記事では、ソロ情シスが退職した場合のリスクや対処法について解説します。

「ソロ情シス」とは

ソロ情シスとは、情報システム部門の業務を1~3人のごく少人数で担当している状態のことです。なお、情報システムの担当者がひとりの状態のみを指す場合もあります。

ソロ情シスは、IT人材が不足している企業に多くみられる形態です。そもそもの従業員数が少ない、比較的小規模な企業ではIT人材の確保が難しく、ソロ情シスの状態に陥りやすいといえるでしょう。実は、ソロ情シスには企業にとってさまざまなリスクがあります。

ソロ情シスの問題点

ソロ情シスの問題点は、主に次の4つです。

ひとりあたりの業務量が多い

担当者が少ないということは、当然ひとりあたりの業務量が増すということです。情報システム部門の担当者がひとりしかいない場合は、なおさら多くの負担がかかってしまいます。

また、情報システム部門はシステムの運用・保守だけでなく、ヘルプデスクとしての役割を求められる場合も少なくありません。パソコンの不具合などに関する問い合わせに対応しているうちに、肝心のシステム管理が後回しになってしまうこともあります。

セキュリティリスクが高まる

社内のセキュリティ対策は、情報システム部門にとって重要な仕事の一つです。しかし、担当者が少ないことでひとりあたりの業務負担が増すと、セキュリティ対策にまで手がまわらなくなる恐れがあります。脆弱なセキュリティ体制を放置していると、情報漏洩などのリスクも高まってしまうでしょう。

トラブル対応が遅れてしまう

ひとり、もしくは少数の担当者でなんとか業務をまわしている状態では、いざというときのトラブル対応が遅れてしまいます。不正アクセスやウイルス感染など、重大なトラブルにも迅速に対応できなくなる恐れがあり、被害の拡大を招きかねません。

業務が属人化しやすい

情報システム部門のすべての業務を少人数で担当していると、業務内容が属人化しやすくなります。業務に関する状況や手順などを共有できず、担当者不在の際に、業務が停滞してしまう恐れがあるでしょう。

ソロ情シスのよくある退職理由

ここからは、ソロ情シスが退職を決意するよくある理由を紹介します。

業務負担が多すぎてついていけない

情報システム部門の業務内容は多岐にわたり、日々多くの業務が与えられます。ひとりまたは少人数ですべての業務を遂行するとなると、残業や休日出勤を余儀なくされることも少なくないでしょう。

担当者がひとりの場合は、ほかに相談できる人もおらず、なにがあっても自分ひとりで業務をこなさなければなりません。その結果、肉体的にも精神的にもダメージを負い、退職してしまうケースが多くあります。

求められるスキルと自分のスキルが合っていない

IT人材が不足している企業のなかには、「パソコンに詳しいから」といった理由で、情報システム部門の担当者を決めるところもあります。「業務に必要なスキルと、自分のスキルが合っていないと感じる」という理由から、担当者が退職してしまうケースも少なくありません。

たとえ特定の業務について専門性を有していたとしても、情報システム部門の業務範囲は幅広いためすべてをカバーすることは困難です。また、IT技術は日進月歩のため、日々の業務に追われるあまり勉強時間を確保できず、技術の進化に遅れをとってしまうという問題もあるでしょう。

業務範囲を逸脱した要求が多い

情報システム部門にはヘルプデスクとしての役割も求められますが、Excelの使い方やプリンターの設定のように、業務範囲外の要求をされるケースもあります。社内で「なんでも屋」のように扱われれば、担当者の業務負担はますます増してしまうでしょう。業務範囲を逸脱した要求によって自分のやりたい仕事に集中できず、退職を検討しはじめる人も多くいます。

他部署からの風当たりが厳しい

ITに詳しくない人からは、情報システム部門の業務内容の難しさや忙しさはなかなか理解されないものです。また、情報システム部門は直接的に利益を生み出す部門ではないため、経営陣から「コストセンター」とみなされることも多いでしょう。このように周囲から評価されないことでモチベーションが低下することも、ソロ情シスが退職する理由の一つです。

ソロ情シスが退職した場合の3つのリスク

ソロ情シスが退職してしまうと、企業にとってはさまざまなリスクがあります。

業務の引き継ぎが難しい

ソロ情シスは業務が属人化しやすいため、通常よりも退職時の引き継ぎが困難です。とくに、担当者がひとりしかない場合は、業務内容や手順について、共有を前提とした資料づくりがなされていないことも多いでしょう。その結果、前任者の意図やノウハウを引き継ぐことができず、のちのちの業務に支障が出る恐れがあります。

ITインフラの機能が低下する

情報システム部門は、サーバーやネットワークといった社内のITインフラを支える存在です。その担当者が辞めてしまったとなれば、ITインフラの機能低下や機能不全を招きかねません。また、トラブルが起きても速やかな原因究明ができず、被害の拡大や再発につながってしまいます。

人材の確保に苦労する

情報システム部門の担当者がごく少人数の企業は、そもそもIT人材が不足している場合が大半です。情報システム部門の実務経験があり、ソロ情シスにも対応できるほどの人材は転職市場での需要が高く、後任の採用に苦戦する可能性が高いでしょう。

ソロ情シスの退職を防止する方法

上記のようなリスクを防ぐためには、ソロ情シスが働きやすい環境を整備することが大切です。そこでここからは、ソロ情シスの退職を防止する方法について解説します。

社内マニュアルを整備する

業務量削減の一環として、社内マニュアルを整備することをおすすめします。パソコンやシステムにまつわる初歩的なトラブルなら、従業員がマニュアルを読んで自己解決できる仕組みを整えるとよいでしょう。また、適宜、勉強会や研修会を実施し、従業員のITリテラシーを高めると、より高い効果を期待できます。

きちんと評価される環境をつくる

業務の専門性の高さ、忙しさを周囲に理解されづらいことも、情報システム担当者の離職を招く原因の一つです。そこで、経営層や管理層が、情報システム部門の業務の重要性を理解できるよう促しましょう。これにより、情報システム担当者が正当に評価される環境を整えることができます。

ツールやアウトソーシングを活用する

業務効率化・自動化を図れるツールは、積極的に活用しましょう。便利なツールの導入は、担当者の業務負担を軽減することにつながります。また、必要に応じて、アウトソーシングも視野に入れることがおすすめです。IT人材の不足に悩む企業も、アウトソーシングを活用すれば情報システム業務を担う人員を増やすことができます。

情シス担当者が退職してしまう場合の対処法

いま、まさに担当者が退職しようとしている場合は、以下のような対処法を講じましょう。

ナレッジベースを作成する

ナレッジベースとは、業務にまつわる知見を1箇所にまとめたデータベースのことです。担当者が退職してしまう前にナレッジベースを作成しておけば、業務をスムーズに引き継ぐことができるでしょう。

自社採用とアウトソーシングを組み合わせる

業務のアウトソーシングは、担当者が退職することが決まっている場合の対処法としても有効です。

後任の人材確保を目指しつつ、アウトソーシングを組み合わせることで、「ひとりあたりの業務負担が多すぎる」という根本的な退職原因を改善することができます。社内事情に精通した自社の人材と、IT知識に長けた専門家のアウトソーシングを組み合わせることで、業務の効率化を目指しましょう。

まとめ

ソロ情シスの担当者の退職は、企業にとってさまざまなリスクを招きます。しかし、情報システム部門の人員を増やそうにも、IT人材の確保は簡単ではありません。ITインフラ構築のように専門性の高い業務については、アウトソーシングを上手に活用することをおすすめします。情報システム業務のアウトソーシングをお考えでしたら、「アイエスエフネット」のITインフラエンジニア派遣サービスをご検討ください。

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