派遣会社を移籍すれば派遣社員を確保できるか?優秀な人材を獲得する方法を解説

人手不足が声高に叫ばれる昨今、優秀な派遣社員には長く働いてほしいと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、派遣社員は3年を超えて就労できないというルールがあります。

本記事では、派遣社員に派遣会社の移籍を打診してもよいのか、優秀な人材を確保する方法とは何かをメインに解説しました。人材を確保するヒントとして、ご活用ください。

派遣の基本ルール

派遣会社が社員を雇用し、派遣先企業で就労させる形態が、派遣の基本的な仕組みです。派遣社員の雇用主は派遣会社で、仕事の指示や管理は派遣先企業が担います。

派遣社員には、次の3つのタイプに分かれます。

  • 有期雇用:派遣先企業で就労する期間のみ、派遣会社と雇用契約を締結
  • 無期雇用:期間の定めなく、派遣会社と雇用契約を締結
  • 紹介予定:派遣期間終了後、派遣先企業での雇用を前提とする派遣

派遣社員をとりまく現状

派遣社員の実稼働者数は、コロナ禍で一時的に落ち込みました。しかし、2021年春以降の全地域の前年同期比は、一貫して100%以上を維持しています。派遣社員に対する高いニーズが見て取れるデータです。

また、パートを除いて、ITインフラエンジニアが属する情報通信業の求人数も、コロナ禍以降は上昇傾向にあります。

派遣社員の活用は、派遣先企業にとっても「専門スキル保持者の確保」「人材コストの削減」などのメリットがあり、注目されている様相です。

※参考:労働者派遣事業統計調査 | 一般社団法人日本人材派遣協会
※参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省

契約満了後も派遣社員に自社で働き続けてもらう方法

契約社員に、契約期間の後も継続就労してもらう方法は4つあります。それぞれを詳しく解説します。

紹介予定派遣を利用する

紹介予定派遣とは、派遣期間が満了したら、派遣先企業が派遣社員を直接雇用することが前提の契約形態です。派遣期間は最長で6か月間で、その後、派遣社員と派遣先企業の合意をもって、直接雇用が決定します。

紹介予定派遣のメリットは、次の4つです。

  • 就業前に書類選考・面接が可能
  • 契約期間中でも直接雇用が可能
  • 仕事ぶりを見てから採用可否を判断可能
  • 派遣会社と雇用条件の交渉が可能

紹介予定派遣を利用しての直接雇用には、紹介手数料がかかります。相場は年収の20~30%です。

派遣社員に直接雇用を打診する

紹介予定派遣ではない場合も、派遣期間中に派遣社員に対し、直接雇用を打診しても構いません。

ただし、派遣社員への直接雇用打診を、派遣会社に黙って進めるやり方は避けましょう。契約内容によってはトラブルに発展するおそれがあります。

派遣社員を直接雇用したい場合は、事前に派遣会社にその旨を伝えます。正当な手順を踏み、手続きを進めることが大切です。

派遣社員の配属部署を異動させる

派遣社員は、契約で決めた部署以外での就労や異動は原則的に禁止されています。ただし、次の場合は部署異動が可能です。

  • 派遣社員と派遣先企業が同意している
  • 契約期間が満了している

部署を異動すると、派遣社員の継続勤務を制限するルールである「個人単位の派遣期間」の上限を延長でき、働き続けてもらえるようになります。ただし、事業所単位での派遣期間の延長は、別途手続きが必要です。

派遣期間の上限と抵触日については、後ほど詳しく解説します。

派遣会社で無期雇用にしてもらう

抵触日があり、派遣期間に制約があるのは、有期雇用の派遣社員です。派遣社員が派遣会社と無期雇用契約を取り交わしている場合、派遣可能な期間(3年)のルールが適用されません。

派遣社員を派遣会社で無期雇用にしてもらうことで、その派遣社員に3年を超えて働き続けてもらえます。ただし、派遣会社で無期雇用となるため、直接雇用できる可能性は低くなる点に注意しましょう。

派遣社員に「派遣会社の移籍」を持ちかけてはいけない

派遣社員が派遣会社を移籍しても、問題にはなりません。ただし、派遣先企業が移籍を持ちかけることは違法です。その理由とペナルティを解説します。

派遣社員に「派遣会社の移籍」を持ちかけてはいけない理由

派遣会社の移籍打診は、労働者派遣法(派遣法)が禁止する行為の1つ「派遣社員を指定する行為」に該当します。派遣先企業は、派遣社員を指名できません。特定の派遣社員を名指しして働き続けてほしいという思惑に基づく行為は、派遣社員の指名に違反します。

その他、派遣法が禁じる行為は以下の通りです。

  • 契約外業務への就労指示
  • 所属していない部署での業務、異動
  • 契約のない出張や残業、接待への従事
  • 二重派遣、偽装請負
  • 飲み会や接待への参加を強要

派遣社員に派遣会社の移籍を打診した場合のペナルティ

「派遣社員に派遣会社の移籍を打診する」「契約外の部署で就労させる」などの違反があった場合、ペナルティが科されます。このペナルティは、基本的に派遣会社が対象です。業務改善命令や業務停止命令、一般労働派遣事業の許可取り消しといった処分があります。

ただし、派遣先企業に行政処分が下される可能性も、ゼロではありません。また、派遣会社との良好な関係を維持するためにも、派遣は法律に則り、正しく利用するようにしましょう。

派遣社員に働き続けてもらう際は「抵触日」に注意

派遣社員の活用にあたって、派遣先企業は抵触日に注意しなければなりません。抵触日を詳しく解説します。

抵触日とは

派遣法は、派遣可能な期間を3年と定めています。また、派遣期間の3年が満了した翌日を、抵触日といいます。

抵触日は、「臨時的な働き方」と位置付けられる派遣社員の雇用を、安定させる目的で制定されました。また、抵触日は派遣社員本人にかかわる「個人単位」と、事業所がかかわる「事業所単位」2種類があります。

派遣社員・個人単位の抵触日

派遣社員本人にかかわる個人単位の抵触日とは、1人の派遣社員が同一事業所・同一組織単位で働ける期間を3年までと定めるルールです。部署を異動すれば期間はリセットされますが、期間を3年以上に延長はできません。

また、期間のカウントでは、次項で解説する事業所単位の抵触日が優先されます。

派遣先事業所単位の抵触日

事業所単位の派遣抵触日とは、同一事業所で派遣社員を受け入れられる期間を、最長3年と定めるルールです。事業所の定義は、雇用保険の適用事業所単位と同等と考えてください。

もし、同一の事業所で3年を超えて派遣社員を受け入れたい場合は、期間満了の1か月前までに労働組合の過半数以上に意見聴取する手続きを経て、期間を延長します。

派遣社員に長く活躍してもらうために必要なこと

派遣社員に長く活躍してもらうために大切にしたい、3つのポイントを解説します。

直接雇用の打診は、派遣会社との関係性も大切にする

派遣社員には、派遣の契約期間中であっても直接雇用を打診できます。ただし、派遣社員の派遣先企業での直接雇用は、派遣会社にとって痛手です。派遣会社との関係性に配慮し、ルールとマナーに則って進めるよう注意しましょう。

また、直接雇用への切り替えは、派遣社員本人にも雇用契約や環境の変化をもたらすため、慎重に進めることが大切です。

派遣社員を直接雇用する場合、契約内容やルールは書面で明瞭に伝える

自社で働いていた派遣社員を直接雇用することになった場合も、契約内容やルールは書面で確実に伝達します。「わかっているだろう」と、軽視してはいけません。後から「言った・言わない」といったトラブルが発生しないように、書面で明瞭に労働契約や社内のルールを伝えるようにしてください。

優秀な派遣を安定的に派遣してくれる派遣会社を探す

安定的に人材を確保したい場合は、良質な派遣会社選びも重要です。優秀な派遣社員を多数抱え、派遣先企業の人的課題と真剣に向き合ってくれる派遣会社を探しましょう。

また、派遣会社の得意分野の見極めも重要です。自社の業種や地域性と相性が合う派遣会社を精査する視点で、探してみましょう。

ITインフラエンジニアの分野なら、すべての派遣社員を正社員雇用しているアイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービスもあります。

派遣社員は出向可能か

派遣社員と似た概念に「出向」があります。派遣社員を指定の事業所に出向させることはできるのか、詳しく解説します。

出向とは

出向とは、もともと所属していた企業との雇用契約を維持したまま、関連企業など別の企業で就労すること(在籍出向)です。通常は、人材の育成やキャリアアップ、人事上の戦略、雇用調整などを目的に行われます。

出向といえば、一般的に在籍出向を指しますが、転籍出向という別の形態もあります。

派遣社員を出向させることはできない

派遣社員は、派遣会社から派遣先企業に派遣されています。派遣社員の雇用契約は派遣会社との間で締結されており、派遣先企業と派遣社員の間に雇用関係はありません。雇用関係にない派遣社員を別の企業に出向させる行為は、二重派遣と呼ばれ、法律で禁止されています。

法律違反のペナルティが科されるおそれもあるため、注意しましょう。

派遣と在籍出向、転籍出向の違い

出向にはもう1つの形態、転籍出向があります。転籍出向とは、もともと所属していた企業との雇用契約を解消し、出向先企業と新たに雇用契約を締結する形式です。

在籍出向や派遣との違いを、表にまとめました。

形態雇用契約の締結先就業場所
派遣派遣元企業派遣先企業
在籍出向出向元企業・出向先企業出向先企業
転籍出向出向先企業出向先企業

まとめ

派遣社員には、派遣法が定める派遣可能な上限期間があります。期間を超えての就労は原則としてできません。長く働いてほしい場合は、紹介予定派遣の利用や直接雇用への切り替えなどの手続きが必要です。

人手不足の世相を受け、派遣社員の活用にもあらためて注目が集まっています。とくに情報通信産業では、「優秀な派遣社員に来てほしい」「スキルのあるITインフラエンジニアが足りない」といったケースも多いようです。

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