派遣を活用するときの注意点とは?ルールや禁止事項、成功のポイントなどを解説
人材派遣の活用は、業務の効率化や人件費の削減など、多くのメリットがあります。しかし、派遣には法律で定められたルールや禁止事項があり、それらを理解したうえでの活用が重要です。本記事では、派遣を成功させるために知っておくべき注意点を詳しく解説します。スムーズに派遣を活用するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
派遣の基礎知識
派遣の基礎知識では下記2つを解説します。
- 派遣とは
- 派遣の種類
派遣とは
派遣とは、派遣会社と雇用契約を結んだ労働者が、派遣先企業で働く雇用形態です。労働者は派遣先企業から業務指示を受けますが、給与や社会保険、福利厚生などの雇用関係は派遣会社が担当します。つまり、雇用主は派遣会社、勤務先は派遣先企業の関係です。
派遣の種類
派遣労働には主に「一般派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」の3種類があります。
「一般派遣」は、派遣先が決まった時点で雇用関係が発生し、派遣期間のみの雇用です。スタッフは自分の希望や条件に合わせて仕事を選べます。
「常用型派遣」は、派遣会社と無期雇用契約を結ぶため、派遣期間に制限がなく、安定した雇用が保証されます。
「紹介予定派遣」は、正社員としての雇用を前提に、最大6か月間派遣社員として就業する制度です。この期間で双方が合意すれば、正社員の雇用が決まります。直接雇用の前に、職場環境や業務内容を把握できるのがメリットといえるでしょう。
派遣を導入するメリット
派遣を導入するメリットは次の2つです。
- 業務効率化によるコスト低減
- 労務のコスト削減
順に解説していきます。
業務効率化によるコスト削減
派遣の導入で、採用や教育にかかる時間とコストを削減できます。必要な時に必要な人材を確保できるため、業務の効率化が可能です。繁忙期などの一時的な人手不足にも柔軟に対応でき、残業代の削減にもつながります。派遣は労務管理の負担を軽減し、コスト削減と業務効率化に貢献できる雇用体系といえるでしょう。
労務のコスト削減
派遣社員の活用で、求人や雇用に関するコストや手間を派遣会社に委ねられます。面接や入社手続き、社会保険や給与計算などの労務管理も派遣会社の担当になるため、自社の負担軽減が可能です。採用にかかる広告費や人件費の削減にもつながるため、経営的にもメリットが大きいといえるでしょう。
派遣に必要な準備とポイント
派遣に必要な準備とポイントは下記2つです。
- 任せる業務範囲を決めておく
- 社内に周知し、正社員・派遣社員の垣根をなくす
任せる業務範囲を決めておく
派遣社員に任せる業務は、契約で定められた範囲内に限られます。そのため、事前に業務内容を明確にし、必要な機器や備品の準備が重要です。
また、指揮命令系統を明らかにし、指揮の命令者を任命しておきましょう。業務手順やマニュアルを用意しておくことで、属人化を防ぎスムーズな業務遂行が可能です。
社内に周知し、正社員・派遣社員の垣根をなくす
派遣社員を受け入れる際は、関連部署にも通知し、受け入れ内容の周知で円滑な人間関係の構築につなげましょう。同じ職場の仲間として、自社社員と平等に扱い、業務内容や勤務時間、残業対応などを部署内に伝えておくことが大切です。特に、派遣開始当初は、できる限り垣根をなくし、平等に接することが求められます。
人材派遣を利用する前に知っておきたい注意点
人材派遣を利用する前に知っておきたい注意点は、以下の5つです。
- 派遣期間の制限
- 派遣の禁止業務
- 自社以外への派遣は禁止
- 特定行為の禁止
- 離職後1年以内の労働者派遣の禁止
派遣期間の制限
人材派遣を利用する際は、同一の組織単位での派遣期間が原則3年に制限されていることに注意が必要です。ただし、無期雇用や60歳以上の従業員、有期プロジェクトへの従事などは例外とされています。産休・育休・介護休暇を取得する従業員の業務も対象外です。派遣会社と契約する際は、これらの制限に抵触しない範囲で派遣期間を定めましょう。
派遣の禁止業務
人材派遣を利用する際は、派遣労働法で定められた派遣禁止業務に注意が必要です。港湾運送業、建設業務、警備業務、医療関係業務は派遣法適用除外となっています。弁護士、公認会計士、司法書士なども各士業の法令により派遣が禁止されている職種です。派遣会社と連携し、適切な業務範囲内で派遣労働者を活用しましょう。
※参考:労働者派遣事業を行うことができない業務は|厚生労働省
自社以外への派遣は禁止
人材派遣を利用する際は、派遣先が自社のみに限定されることに注意が必要です。自社以外に労働力として派遣することは、労働基準法と職業安定法で「二重派遣」として禁止されます。というのも、仲介手数料の複数発生による派遣社員の給与減少を防ぎ、責任の所在を明確にするためです。
特定行為の禁止
人材派遣を利用する際は、派遣社員の特定目的行為が労働者派遣法で禁止されていることに注意が必要です。派遣先企業は派遣社員の指名ができず、選考は派遣会社が行います。ただし、顔合わせであれば対面が可能です。
また、直接雇用を前提とした紹介予定派遣は禁止の対象外となっています。派遣会社と連携し、適切な手続きが大切です。
離職後1年以内の労働者派遣の禁止
派遣先企業で直接雇用されていた従業員が、離職後1年以内に派遣社員として同じ企業で働くことは法律で禁止されています。この規定は正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象です。ただし、定年退職者はこの禁止対象から除外されています。派遣先企業は、離職者の再雇用に際して注意が必要です。
※参考:離職後1年以内の労働者派遣の禁止について|厚生労働省
派遣の受け入れ初日の流れ
派遣の受け入れ初日の流れを下記の順に解説します。
- 派遣期間の制限
- 派遣の禁止業務
- 自社以外への派遣は禁止
- 特定行為の禁止
- 離職後1年以内の労働者派遣の禁止
1.社内案内と関係者への紹介
派遣先責任者や指揮命令者、就業部門・関連部門の関係者へ派遣スタッフを紹介します。派遣社員が業務を行う部屋だけでなく、会議室、休憩室、更衣室、トイレなどの施設を案内も必要です。
また、社内食堂や立ち入り禁止エリア、緊急時の非常口・非常階段の場所も案内しておきましょう。可能であれば、フロア案内や組織図、座席表を渡しておくと便利です。
2.社内ルールの説明
業務で使う設備や備品の利用ルールを説明し、休憩室やトイレなど業務外の社内ルールも伝えましょう。電話の取次ルールは会社ごとに異なるため丁寧に説明します。
また、出退社時や休憩時間、欠勤時の連絡方法などのルールも共有しておくことが重要です。
3.業務の説明
社内組織の概要を説明し、自部署の位置づけや業務全体の流れを伝えます。組織図や業務フローなど業務で必要な情報も共有しましょう。任せる業務内容とその役割を説明し、派遣元から聞いている内容と違いがないかを確認します。取引先や機密情報に関するルールは特に注意が必要です。
派遣受け入れ後の注意点
以下の2つが派遣受け入れ後の注意点です。
- 教育訓練を実施する義務
- コミュニケーション構築のサポート
教育訓練を実施する義務
派遣先企業には、派遣社員が業務を正しく遂行できるよう、自社の従業員と同じ教育訓練を実施する義務があります。派遣社員の自主的なスキルアップも可能な限り協力・サポートが求められます。これらの施策は、派遣社員のスキル向上や知識獲得につながり、業務の質向上が期待できるでしょう。
コミュニケーション構築のサポート
派遣社員が職場で疎外感を感じないよう、指揮命令者と連携し、一緒に働く部門や関連部門、同じ派遣社員との円滑なコミュニケーション構築のサポートが重要です。相談しやすい機会を設け、安心して働ける環境づくりに配慮しましょう。必要であれば雇用形態にかかわらず、等しく接するよう社内教育を実施し、意識改革を促すことも求められるでしょう。
まとめ
派遣を活用するときの注意点や成功のポイントを解説しました。派遣の活用メリットは大きいですが、法律で定められたルールや禁止事項を理解し、派遣会社と連携した適切な運用が大切です。派遣社員を受け入れる際は、業務内容の明確化や指揮命令系統の整備、社内への周知、教育訓練の実施やコミュニケーション構築のサポートにも注力しましょう。
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