フリーランスの常駐は違法?法律違反となるケースや判断基準などを解説

人材不足の解消にフリーランスを活用する企業は増えており、なかには自社にエンジニアを常駐させるケースもあります。しかし「フリーランスエンジニアを自社に常駐させることは、違法なのでは?」と気になっている人も多いでしょう。そこで本記事では、フリーランスを常駐させることの適法性や、違法になるケースなどを解説します。

フリーランスを常駐させることは違法?

フリーランスのエンジニアに業務を依頼する場合は、リモートワークで働いてもらうケースが一般的です。しかし、契約内容によっては社内に常駐させることも可能であり、基本的に違法性はありません。

「常駐」と「派遣」の違い

エンジニアに常駐してもらう方法としては「フリーランスに常駐してもらう」だけでなく、「エンジニア派遣を活用する」という選択肢もあります。どちらの場合も、エンジニアは自社の事業所内に常駐して働くことになりますが、それぞれ以下のような違いがあるため注意しましょう。

常駐

フリーランスエンジニアに常駐してもらう場合、エンジニアとは業務委託契約を結びます。業務委託契約は、以下の3種類に分けられます。

請負契約成果物に対して報酬を支払う契約形態
委任契約法律行為を伴う業務遂行に対して報酬を支払う契約形態(弁護士や税理士など)
準委任契約法律行為を伴わない業務遂行に対して報酬を支払う契約形態

ここで注意したいポイントが、業務委託契約にはフリーランスに対する指揮命令権がないという点です。常駐はフリーランスの働き方の1つなため、自社に常駐させたとしても、業務の進め方などについて発注者が指示を出すことはできません。

また、フリーランスを常駐させる場合、契約期間は依頼内容やプロジェクトにより異なるため、5~10年と長期に及ぶ可能性もあります。

派遣

人材派遣サービスを利用する場合は、人材派遣会社と労働者派遣契約を結びます。この場合、使用する人材はフリーランスではなく、人材派遣会社と雇用関係のあるスタッフです。

フリーランスの常駐との大きな違いは、労働者派遣契約では発注者に指揮命令権があるという点です。自社の従業員と同じように業務指示ができ、柔軟な対応が可能となります。

ただし、人材派遣には「3年ルール」といって、同じ派遣スタッフを3年を超えて使用することはできないという縛りがあります。そのため、スキルや適性の合う人材が見つかっても、長期間働いてもらうことが難しい場合もあるでしょう。

フリーランスを常駐させるメリット・デメリット

ここからは、フリーランスを常駐させるメリット・デメリットを、エンジニア派遣との違いを考慮したうえで解説します。

メリット

フリーランスを常駐させれば、エンジニアとのコミュニケーションがとりやすくなります。ユーザーの反応に合わせて素早い対応が必要な案件でも、エンジニアが常駐していれば素早く対応できるでしょう。

フリーランスエンジニアはある程度キャリアを積んでから独立している場合が多いため、即戦力になる人材を確保できる点もメリットです。経験豊富なエンジニアと一緒に働くことは、自社のエンジニアのスキルアップにもつながります。

デメリット

フリーランスのエンジニアに対しては指揮命令権がないため、自社のエンジニアとまったく同じように扱うことはできず、なにかと不便を感じることもあるでしょう。

たとえば、フリーランスに対しては、仕事のやり方や順番を指示することは認められません。フリーランスに指示ができること、できないことを曖昧にしていると、意図せず法律を破ってしまう恐れがあります。

フリーランスの常駐が違法になるケース

フリーランスの常駐に関連するルールを守らないと「偽装請負」とみなされ、法律に違反する恐れがあります。

偽装請負とは?

偽装請負とは、形式上は請負契約を結んでいるにもかかわらず、実態としては労働者派遣のように人材を使用することです。請負契約だけでなく、準委任契約を結ぶ場合も同様です。

フリーランスとは労働者派遣契約ではなく業務委託契約を結ぶため、派遣スタッフのように扱うことは偽装請負にあたります。つまり、フリーランスに対して、労働者派遣契約のように指揮命令権を行使することは違法とみなされます。

実際の現場では、常駐するフリーランスと一緒に働いていると、つい自社の従業員との区別が曖昧になりがちです。知らないうちに法律を破らないためにも、偽装請負について理解を深めておきましょう。

偽装請負が禁止されている理由

労働者派遣契約では、派遣労働者は労働法による保護を受けられます。一方、フリーランスはどの企業とも雇用関係ではないため、労働法の適用範囲外です。

労働法の保護を受けられないフリーランスを、実質的に派遣労働者のように働かせることは、発注する事業者による不当搾取にあたります。こうした労働者の待遇悪化や不安定化を防ぐために、偽装請負は法律で禁止されています。

【注意】偽装請負とみなされる4パターン

偽装請負とみなされるケースは、主に次の4つのパターンです。なお、「形式だけ責任者型」や「使用者不明型」は請負業者のスタッフを前提としているため、フリーランスを使用する場合は「代表型」や「一人請負型」に当てはまるケースが多いでしょう。

1.代表型

偽装請負とみなされるケースのなかでは、最もよくあるパターンです。請負契約を結んでいるにもかかわらず、発注者が労働者に業務上の細かい指示を出したり、出退勤時刻や勤務時間を管理したりします。

2.形式だけ責任者型

請負業者に所属しているエンジニアを使用する場合に、請負事業者が責任者を配置しているものの、責任者は発注者からの指示をそのまま伝えるのみというケースです。この場合、実質的には、労働者が発注者から直接指示を受けているのと変わらないため、偽装請負とみなされます。

3.使用者不明型

関係者を増やすことで、雇用関係や責任の所在が曖昧になるケースです。たとえば、A社がB社(請負業者)に業務を依頼し、B社がC社(請負業者)に業務を委託するというケースがあります。このような場合、C社のエンジニアはA社やB社の指示を受けながら業務を進めるということを指します。

4.一人請負型

受託者がフリーランスをあっせんし、委託者とフリーランスが業務委託契約を結ぶケースです。このとき、フリーランスに受託者による指揮命令下で業務を進めさせると、偽装請負にあたります。

偽装請負とみなされたときのリスク

偽装請負が労働者供給に該当する場合は、発注者に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。労働者供給型の偽装請負とは、次のようなケースです。

  • X社:フリーランス向けの人材紹介サイトを運営している
  • Y社:X社に人材紹介を依頼
  • Aさん:X社の人材紹介サイトに登録しているフリーランス

X社とY社が業務委託契約を結び、AさんをY社のオフィスに派遣。Aさんは、Y社の指揮命令下で仕事をする。

助言や行政指導、是正勧告などに従わない場合は企業名が公表され、社会的信用が失墜するというリスクもあるため注意しましょう。

偽装請負の4つの判断基準

フリーランスの常駐が偽装請負に該当するかの判断基準は、主に次の4つです。

業務遂行に関する指示をしていないか

常駐する人材であっても、フリーランスの仕事のやり方は、フリーランス自身が決定します。フリーランスに対して業務遂行に関する指示をすることは、偽装請負にあたります。なお、日常的な会話や注文は、指揮命令とはみなされません。

労働時間や休日を管理していないか

フリーランスの労働時間や休日に関する管理・指示をすることは、偽装請負にあたります。たとえば、フリーランスに対して労働時間の延長や休日労働などを依頼することは禁止です。稼働時間や休日については、契約時にしっかり定めておきましょう。

備品や資材などを通じて実質的に業務を制限していないか

フリーランスに対して、業務上必要な備品や資材を提供すること自体は問題ありません。ただし、これらによって実質的に業務のやり方を制限している場合は、偽装請負とみなされる可能性があります。

秩序維持に関する指示をしていないか

社内規則や服務規程を適用するなど秩序維持に関する指示をすると、偽装請負を疑われる場合があります。たとえば、フリーランスに制服着用を義務づけると、問題に発展するリスクが高いでしょう。

まとめ

フリーランスを自社に常駐させること自体は、違法ではありません。しかし、フリーランスを派遣スタッフのように使用すると、偽装請負にあたり法的責任を問われる可能性があります。請負と派遣の違いをきちんと理解し、法律を遵守しながらアウトソーシングを活用しましょう。

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