情報システム部の主な役割や業務内容|人材不足を解消する方法も解説
企業経営にIT技術が欠かせない現代において、情報システム部は、社内のさまざまな役割を担う重要な部署です。しかし現状は、多くの企業が、情報システム部の業務について、何らかの課題を抱えているとされています。本記事では、情報システム部の主な役割や課題について解説します。課題解決の手段として、情報システム業務のアウトソーシングもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
「情報システム部」とはどのような部署?
まずは、情報システム部とはどのような部署なのか、企業での役割について解説します。
社内の情報システム全般に携わる部署
情報システム部は、企業の「基幹システム」や「業務システム」といった、情報システム全般に関わる業務を行うほか、従業員がパソコンやシステムをスムーズに使えるようサポートする役割も担う部署です。情報システム部を略して、「情シス」と呼ぶこともあります。
ほとんどの業界において、企業活動にはIT技術を駆使した環境が欠かせないものとなっています。IT技術に精通した情報システム部は、多くの企業にとって、なくてはならない存在といえるでしょう。
名称や業務範囲は企業ごとに異なる
情報システム部の名称は企業ごとに異なり、「IT推進部」「デジタル推進部」といった呼ばれ方をすることもあります。また、情報システム部の業務範囲は多岐にわたり、実際の業務内容は企業によってさまざまです。
情報システム部の主な業務内容
情報システム部の主な業務内容は、大きく分けると次の4つです。
- ITシステムの企画・提案
- 社内システムの運用・保守
- 社内インフラの構築・管理
- ITヘルプデスク
それぞれの業務内容について、以下で詳しく解説します。
ITシステムの企画・提案
新たに導入するシステムの企画立案や、システムに必要な機能をまとめる「要件定義」を担います。業務に有用なシステムを導入するためには、企業の経営戦略や事業戦略、ほかの部門からの要望などに基づいて検討・選別することが必要です。
ITの観点から、自社の業務改善・利益拡大につながるようなプランを提案します。
社内システムの運用・保守
新しいシステムだけでなく、すでに導入している社内システムの運用・保守業務も情報システム部の仕事です。点検やアップデートを実施することで、基幹システムや業務システムを安定的に運用できるようにサポートします。
社内インフラの構築・管理
サーバーやネットワークなど、社内インフラを構築することも情報システム部の役割です。故障やウイルス感染などのトラブルを未然に防ぐため、適切なメンテナンスを行います。
また、セキュリティ対策も欠かせない役割の一つです。情報システム部は、さまざまな攻撃からシステムやデータを守るためにも必要不可欠な存在です。
ITヘルプデスク
企業によっては、ITヘルプデスクとしての役割を求められることもあるでしょう。ITヘルプデスクは、従業員からの問い合わせに応じて、パソコンの不具合やアプリの使い方に対するアドバイスを行う部署です。パソコンやタブレットなどのデバイスを管理・設定したり、従業員のためのFAQを作成したりと、業務内容は多岐に渡ります。
情報システム部における4つの業務形態
情報システム部には、主に4つの業務形態があります。それぞれの特徴については、以下のとおりです。
1.ソロ情シス
ソロ情シスとは、情報システムの担当者がひとりしかいない状態のことです。
IT人材の不足が叫ばれる昨今、ソロ情シスは増加傾向にあり、情報システム部における課題の一つといえます。担当者に業務負担が集中するため、トラブル時にスムーズに対応できないといったリスクが懸念されています。
しかしながら、中小企業ではソロ情シスの形態を採用せざるをえないケースも多いでしょう。
2.他部署との兼任
総務部や経営企画部など、他部署の人員が情報システム担当を兼任しているケースもあります。
設立後間もない、若い企業に多い形態です。
ソロ情シスと同じく、人材が不足しているために、この形態を採用している企業も少なくありません。また、ソロ情シスのなかにも、他部署と情シスを兼任しているケースが多くあります。
3.独立した部署として設立
情報システムの担当者が複数人おり、一つの部署として成り立っているケースです。
前述の形態と比べて人的リソースが潤沢なため、インフラ担当やヘルプデスク担当など、担当制を採用している場合もあります。各業務に担当者を割り振ることで、トラブルに迅速に対応できる点がメリットです。
4.情報システム部の子会社化
情報システム部を切り離し、別会社として独立させているケースもあります。大企業に多い形態で、グループ全体のシステム開発や運用・保守を担っている場合も多いでしょう。
情報システム部が抱える課題
情報システム部は、IT時代の企業にとって欠かせない存在ですが、一方で多くの課題を抱えています。
IT人材の不足
経済産業省の試算によると、2030年時点で不足するIT人材は最大79万人です。
情報システム部の人材確保に苦戦している企業は多く、「ソロ情シス」や「兼任情シス」は増加傾向にあります。これらの業務形態は、担当者の負担が大きく、心身の健康を損なってしまったり、業務の属人化が進んだりなど、さまざまなリスクを抱えています。
他部署との連携不足
「他部署の従業員がセキュリティ上の問題点を理解してくれない」「導入したルールについて、他部署からクレームがくる」など、他部署との連携不足により、トラブルが起きるケースもあります。
こうしたトラブルの多くは、部署間のコミュニケーション不足が原因です。情報システム部には、日頃から他部署とのコミュニケーションを取る、セキュリティ対策やツールに対する理解を促すなどの活動が求められます。
業務範囲を逸脱した依頼の横行
情報システム部の業務は多岐に渡り、ITヘルプデスクとしての役割も担う場合も少なくありません。
しかし、本来の業務範囲を逸脱した依頼が横行し、「なんでも屋さん」として扱われてしまうケースも多々あります。
社内で軽視されやすい
情報システム部は、直接売上を生み出す部署ではありません。そのうえ、システムの導入を主導した場合には、多額のコストがかかります。そのため、情報システム部は、経営層からは「コストセンター」とみなされがちです。
また、役割や重要性について理解を得られにくいことも、情報システム部の軽視につながっています。
情報システム部の人材不足を解消するなら、アウトソーシングもおすすめ
情報システム部の人材不足を解消するなら、アウトソーシング(外注)の活用も手段の一つです。
情報システム部の人員を増やすなら、一般的には、情報システムに精通した人材を採用したいと考えるでしょう。しかし、専門性の高い人材の確保やIT人材の育成は、企業にとっては大きな負担です。
アウトソーシングを活用すれば、社内で人材の確保や育成を行わなくても、人材不足の問題を解消できます。情報システム部の業務のなかで、アウトソーシングできるものは数多く存在します。
アウトソーシングしやすい情シス業務
情報システム部の業務範囲のなかで、アウトソーシングしやすい業務には以下のようなものがあります。
インフラ構築・運用保守 | サーバーやネットワークの構築・運用保守 |
既存システムの運用保守 | 社内に導入済みのシステムの運用保守 |
ITヘルプデスク | システムやデバイスの使い方・不具合などに関する問い合わせ対応 |
デバイスなどの機器管理 | 社内で使用しているデバイスの設定や維持管理 |
システム監視やインシデント対応 | 専門的な知見を活かし、インシデントに素早く対応する |
情報システム部の業務をアウトソーシングするメリット
情報システム部の業務をアウトソーシングすると、企業にとってさまざまなメリットがあります。
担当者の業務負担を軽減できる
情報システム部の業務の一部を外部委託することにより、「ソロ情シス」や「兼任情シス」の業務負担を軽減できます。これにより、社内の情シス担当者は、よりコアな業務に集中することも可能です。
また、十分な知識を持たない従業員がやむを得ず情報システム担当を担っていたケースでは、専門家へのアウトソーシングにより、業務効率アップも目指せます。
採用・教育コストの削減につながる
自社で専門性の高い人材を確保するには、採用や教育に多くのコストがかかります。
一方、アウトソーシングならば、自社で採用・教育する場合よりもコストを抑えながら、専門スキルを持つ人材を活用することが可能です。
業務の属人化を解消できる
情報システム担当が少人数である場合、業務内容が属人化しやすいというリスクがあります。その状態では「担当者が退職したとたんに業務がストップしてしまう」という事態にもなりかねません。
アウトソーシングの活用は、人材不足による属人化のリスクを低減することにもつながります。
これからの時代で情報システム部に求められる役割
情報システム部に求められる役割は、時代の流れとともに変化しています。
ITツールの導入促進
これからのIT社会で企業が生き残るためには、クラウドといった新しいシステムや、ITツールを使いこなすことが必要です。
情報システム部は、IT化を推進する存在として、ツールの活用方法の提案やサポート、啓蒙活動を行うことが求められると予想されます。
DX化の推進
企業におけるDX化とは、デジタル技術の活用により、業務プロセスの改善や製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革したり、企業文化・風土を改革したりすることを指します。
今後の社会で競争力を高めていくためには、DX化が欠かせません。これからの情報システム部には、社会の変化に対応するため、経営層と連携しながら企業内の業務変革や組織変革を促すような役割が求められます。
まとめ
情報システム部は、企業活動において重要な存在です。
しかし、IT人材は不足する傾向にあり、情報システムに強い人材の確保に苦戦している企業も少なくありません。一部業務のアウトソーシングも含め、担当者の業務負担を軽減するような工夫が必要です。
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