派遣契約の最長期間・最短期間は?「3年ルール」への対処法や例外も解説
人材不足の解消のため、人材派遣サービスを利用する企業は増えています。しかし、派遣契約は契約期間を定めるケースが多いため、派遣スタッフに長く働いてもらいたい場合は注意が必要です。では、派遣スタッフには最長で何年程度働いてもらうことができるのでしょうか。本記事では、派遣契約の最長期間や、期間を延長する方法などを解説します。
Contents
派遣契約の最長期間と最短期間
まずは派遣契約の最長期間と最短期間を紹介します。
最長期間
派遣契約の最長期間は3年間です。いわゆる「3年ルール」によるもので、同じ派遣スタッフを受け入れられる期間は原則3年までと定められています。
最短期間
派遣契約の最短期間は、31日です。30日以下は日雇い労働にあたり、派遣契約は禁止されています。ただし例外条件に当てはまる場合は、30日以下の日雇い派遣も可能です。
人材派遣の「3年ルール」の詳細
人材派遣の3年ルールとは、有期雇用の派遣スタッフを対象とした派遣期間の制限です。2015年の労働者派遣法改正により新設されたルールで、同じ派遣スタッフは、同じ事業所で3年を超えて働くことはできないと定められています。人材派遣の3年ルールには、事業所単位と個人単位の制限があります。
事業所単位の制限
「同じ事業所にスタッフを派遣できる期間は最大3年まで」という制限です。事業所単位の制限は、はじめて派遣スタッフを受け入れた日を起算日とする決まりです。
たとえば、派遣スタッフAさんを2年間受け入れたあと、同じ派遣会社から派遣スタッフBさんを受け入れたとします。その場合、起算日はAさんの雇用日なので、Bさんを雇用してから1年後に期日(抵触日)を迎えます。事業所単位の制限は延長可能ですが、その場合は労働組合や過半数労働者への意見聴取を実施しなければなりません。
個人単位の制限
「同じ派遣スタッフを、同じ事業所の同じ部署に派遣できる期間は最大3年」という制限です。ここでいう部署とは、部・課・グループなどを指し、実態で判断されます。なお、事業所単位の期間を延長しても、個人単位の期間は延長されないため注意が必要です。
「3年ルール」の例外となるケース
人材派遣には原則「3年ルール」が適用されますが、次のようなケースは対象外となります。
派遣スタッフが60歳以上の場合
派遣スタッフが3年経過時点で60歳以上になる場合は、3年ルールの対象外です。たとえば、受け入れ時に59歳だった人は、3年経過後には62歳になっているので、その後も引き続き働いてもらえます。
従事してもらうプロジェクトに期限がある場合
派遣スタッフを有期プロジェクトに従事させる場合は、3年が経過しても、そのプロジェクトが終わるまでは続けて働いてもらうことが可能です。
ただし、すべての有期プロジェクトが対象になるわけではなく、事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務に限定されます。
勤務日数が限定される場合
1か月の勤務日数が10日以下かつ、通常の労働者の所定労働日数の半分以下の場合は、3年ルールの対象外です。
たとえば、通常の労働者の所定労働日数が月20日で、派遣スタッフの勤務日数が月8日の場合は、3年を超えて働いてもらえます。
産前産後・育児・介護休業中の従業員の代替として従事してもらう場合
産前産後・育児・介護などの休業を取得する労働者の代わりに従事してもらう場合も、派遣スタッフに対して3年ルールは適用されません。
派遣会社と派遣スタッフが無期雇用契約を結んでいる場合
派遣会社と派遣スタッフが無期雇用契約を結んでいる場合は、3年ルールの対象外です。無期雇用派遣のスタッフは派遣会社に常時雇用されており、有期雇用とは異なり雇用期間の制限はありません。そのため、派遣先でも3年ルールを気にすることなく働いてもらえます。
派遣契約の平均期間は?
派遣契約の更新期間は、3~6か月程度が多いとされています。一般社団法人日本人材派遣協会が2023年に実施したアンケート調査では、契約期間は「3か月」と回答した派遣スタッフが最も多いという結果となりました。
一方、長期派遣では、6か月~1年で契約を結ぶケースも多くあります。
※参考:派遣社員WEBアンケート調査|一般社団法人日本人材派遣協会
派遣スタッフに3年を超えて働いてもらうには?
同じ派遣スタッフに3年を超えて働いてもらいたい場合は、次のような対応を検討しましょう。
- 別の部署に異動してもらう
- 自社で直接雇用する
- 派遣会社と無期雇用契約を結んでもらう
それぞれの対応について、以下で詳しく解説します。
別の部署へ異動してもらう
個人単位の制限は同一部署での就労期間を制限するものなので、派遣スタッフが別の部署に異動すれば、引き続き働いてもらえます。ただし、事業所単位の制限を延長する手続きは別途必要なので注意しましょう。
自社で直接雇用する
派遣スタッフを自社で直接雇用すれば、期間の定めを気にせず働いてもらえます。直接雇用したい場合は、まずは派遣会社に相談しましょう。派遣スタッフから同意を得られれば、直接雇用に切り替えることが可能です。
派遣会社と無期雇用契約を結んでもらう
派遣会社と派遣スタッフが無期雇用契約を結べば、3年ルールの対象外となります。派遣先が直接的に関与できることではないので、現実的には厳しいかもしれませんが、長く働いてもらいたい場合は一度相談してみてもよいでしょう。また、はじめから無期雇用契約を結んでいる派遣スタッフを受け入れるという手段もあります。
長く働いてもらうなら紹介予定派遣もおすすめ
長く働いてもらえる人材を探しているなら、紹介予定派遣も一考の余地ありです。紹介予定派遣とは、直接雇用を前提とした派遣形態です。派遣スタッフとして受け入れている期間にスキルや適正などを見極め、期間終了後に双方の同意がとれれば直接雇用に移行します。
通常の派遣契約は最長3年ですが、紹介予定派遣は最長6か月までです。6か月間を試用期間のように扱い、直接雇用に移行するかを判断します。
人材派遣サービスを利用する際の注意点
人材派遣サービスを利用する際は、契約期間以外にも次のようなポイントに注意しましょう。
- 契約にない業務は指示できない
- 派遣スタッフの選定は不可
- 離職後1年以内の元従業員は受け入れられない
- 正規雇用の募集情報を周知する
- 中途解除には一定のルールがある
それぞれの注意点について、以下で詳しく解説します。
契約にない業務は指示できない
派遣スタッフに対して契約書に記載のない業務内容や部署異動、出張を指示することは禁止されています。やむを得ず契約外の業務を指示したい場合は、派遣会社を通じて相談するようにしましょう。
派遣スタッフの選定は不可
履歴書や面接などで、派遣スタッフを選定する行為は禁止されています。ミスマッチを防ぐためには、希望する人材の条件について、派遣会社に詳細に伝えることが大切です。ただし、顔合わせの目的であれば、面談自体は認められています。
離職後1年以内の元従業員は受け入れられない
自社を辞めて1年以内の労働者を、派遣スタッフとして再び受け入れることはできません。もともと正規雇用だった労働者はもちろん、パートのような非正規雇用の労働者も対象です。ただし、定年退職で自社を離れた労働者は対象外となり、1年以内であっても派遣スタッフとして受け入れ可能です。
正規雇用の募集情報を周知する
正規雇用の従業員を募集する際は、自社で1年以上受け入れている派遣スタッフに対して周知しなければなりません。同じ組織単位で、3年以上の受け入れ見込みがある派遣スタッフについても同様です。
中途解除には一定のルールがある
派遣スタッフの中途解除は、原則として禁止されています。やむを得ず中途解除する場合は、猶予期間を設けなければなりません。また、就業あっせんなど、新たな就業機会の確保などの対応も求められます。
まとめ
派遣スタッフを受け入れられる最長期間は、原則3年間です。ただし、人材派遣における3年ルールには個人単位の制限だけでなく、事業所単位の制限もあるため、どちらにも抵触しないよう注意する必要があります。また、部署異動や直接雇用などの対応をとれば、同じ派遣スタッフに3年を超えて働いてもらうことも可能です。スキルや人柄がマッチする派遣スタッフに長く働いてもらいたい場合は、まずは人材派遣会社に相談してみましょう。
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