ネットワークのトラブルシューティングの具体的手順|トラブルの主な原因も解説
ネットワークのトラブルシューティングを確立しておくと、「インターネットに接続できない」「通信速度が遅い」などのトラブルに対し、迅速に対処できます。業務への影響も最小限に抑えられるでしょう。本記事では、ネットワークのトラブルシューティングの具体的な手順を解説します。
Contents
ネットワークのトラブルシューティングの基本
まずは、ネットワークのトラブルシューティングの基本的な考え方から紹介します。
トラブルシューティングとは、問題が発生したときに原因を探って解消することです。ネットワークにトラブルが起きたら、まずは症状やきっかけを明確にします。
たとえば、ソフトウェアを更新した途端に接続できなくなった場合は、その更新が原因である可能性があると推察できます。問題が起きたきっかけがはっきりすると、容易に適切な判断ができるでしょう。問題が発生したきっかけが曖昧な場合は、症状からトラブルシューティングを実施します。
消去法の考え方が基本
トラブルシューティングは、消去法の考え方を基本とします。まずは、単純かつ頻度の高い原因から対処法を試しましょう。
ネットワークのトラブルが起きる主な原因
ネットワークのトラブルが起きる主な原因は、以下の通りです。
ネットワーク機器の不具合・故障
オフィスのネットワークは、ONUやモデム、ルーターなど、複数の機器によって構築されています。そのため、これらのどれか1つでも不具合や故障が発生すると、ネットワークがうまく機能しなくなってしまいます。
ネットワーク機器の配線・設定のミス
ネットワーク機器に差し込むケーブルの選択ミスや設定の誤りでも、ネットワークに不具合が生じる可能性があります。このケースは、主にネットワーク担当者による機器交換や保守作業の際に引き起こされることが多いでしょう。また、従業員が無意識のうちに配線や設定を変更してしまうケースも、散見されます。
ハードウェアの問題
インターネットにうまく接続できないときは、パソコンや複合機などのハードウェアに問題が生じているケースもあるでしょう。たとえば、LANケーブルが抜けかけている、LANポートが破損しているといったケースが考えられます。
デバイス側のソフトウェアの問題
Wi-Fiの設定がオフになってしまっている、ネットワーク設定が誤っているなど、デバイス側のソフトウェアに問題が発生している可能性もあります。また、セキュリティソフトが原因でインターネットに接続できないケースもあるため、考慮に入れておくべきでしょう。
回線事業者やプロバイダー側の問題
契約している回線事業者やプロバイダー側の問題によって、ネットワーク障害が引き起こされるケースもあります。その場合、主な原因としては、設備の故障や不具合などが挙げられます。
ネットワークのトラブルシューティングの基本的な手順
ネットワークのトラブルシューティングの基本的な手順は、次の通りです。
- 状況を把握する
- 問題の発生箇所を特定する
- トラブルの発生条件を見極める
- 原因を推定し、検証する
- 対策を検討・実施する
それぞれのステップについて、以下で詳しく解説します。
1.状況を把握する
まずは「どこで・なにが・どうなったのか」、現状を把握するところから始めましょう。症状は1つだけとは限らないため、問題の範囲や現象をすべてチェックします。
2.問題の発生箇所を特定する
次に、問題が起きている箇所を特定します。
その際には、症状が起きている箇所だけでなく、その周辺も確認しましょう。たとえば、パソコンがインターネットにつながらない場合は、まずパソコン自体から調べて、ハブやルーターなどの周辺機器に調査を広げていきます。
また、階層をたどりながら問題が起きていないか確認することも重要です。パソコンの場合は、ハードウェア→OS→アプリケーションというように、階層を上にたどりながら調査を進めていきます。
まとめて確認すると見逃す可能性があるので、階層ごとに根気強く確認することが大切です。
3.トラブルの発生条件を見極める
ネットワークのトラブルは、特定の条件が揃った場合にのみ発生することもあります。トラブルの発生条件を的確に見極められれば、原因も特定しやすくなるでしょう。
4.原因を推定し、検証する
次に、ここまでの情報をもとに、トラブルの原因を推定します。
原因を推定→対処法を試す→検証という工程を繰り返して、トラブルの原因を特定しましょう。まとめて対策を実施すると、何が原因で、どの対策が効果的であったかがわかりづらくなります。1つずつ地道に検証していくことが大切です。
5.対策を検討・実施する
複雑なトラブルは、原因を特定できても簡単には復旧しない可能性があります。その場合は、まず応急処置的な対策を実施し、そのあとに再発防止のための恒久対策を検討しましょう。同じトラブルを繰り返さないためには、根本原因を解消することが重要です。
インターネットにつながらないときのチェックリスト
ここからは、有線接続の場合とWi-Fiの場合の2パターンに分けて、インターネットにつながらないときのチェックリストを紹介します。
有線接続の場合
有線接続の場合は、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 接続できないのは特定のパソコンだけか
- LANケーブルが抜けていないか
- LANケーブルは断線していないか
- LANポートは故障していないか
- ルーターやモデムの電源は入っているか
Wi-Fiの場合
Wi-Fiの場合は、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 接続できないのは特定のパソコンだけか
- パソコンのWi-Fi機能はオンになっているか
- ルーターやモデムの電源は入っているか
- 電源アダプターや電源ケーブル、LANケーブルは抜けかけていないか
- 回線事業者やプロバイダーでメンテナンスや障害が発生していないか
そのほかの周辺機器におけるトラブルの対処法
ネットワークにつながっている機器は、パソコンだけではありません。プリンターやネットワークカメラなど、オフィス環境に応じてさまざまな機器が接続されています。そのため、周辺機器にトラブルが起きた場合も、ネットワークのトラブルシューティングが有効である可能性があります。
たとえば、パソコンのファイルや画像をプリンターで印刷できなくなった場合は、Wi-Fiの接続やLANケーブルの状態をチェックするとよいでしょう。また、本体を再起動することで問題が解消される場合もあります。ネットワークカメラやアクセスポイントなど、そのほかの周辺機器の場合も同様に対処します。
OS別のトラブルシューティング機能
インターネットが接続できないときは、OS別のトラブルシューティング機能を活用すると便利です。
ここからは、WindowsとMacのトラブルシューティング機能について解説します。なお、iOSやAndroidでネットワークトラブルが発生したときは、一般的な手順でトラブルシューティングを実施しましょう。
Windowsの場合
Windowsには、トラブルシューティング機能が標準搭載されています。この機能を活用すれば、インターネットに接続できない場合などに、トラブルを検出し解決方法を探してくれます。
具体的な操作方法はバージョンによっても異なりますが、Windows 10の場合は「設定」メニューから「更新とセキュリティ」を選び、「トラブルシューティング」をクリックすると起動できます。
Windows11の場合は、「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」の順に選択しましょう。
Macの場合
Macでは、Wi-Fiに接続できない場合に「ワイヤレス診断」というトラブルシューティング機能を利用できます。ネットワークのインターネット接続状態を自動で分析し、問題を検知して解決策を提示してくれる機能です。
ワイヤレス診断を利用したい場合は、まずアプリをすべて終了した状態で「Option」キーを押し、「Wi-Fi状況アイコン」から「ワイヤレス診断を開く」を選択しましょう。画面の指示に従って進むと、状況に応じた解決策が提示されます。
解決策が見つからなかった場合は、サポートに必要な情報が詰まった圧縮ファイルが生成されます。これをサポートに送ると、さらに詳細な分析をしてくれるので、ぜひ活用しましょう。
まとめ
ネットワークのトラブルシューティングは、状況を把握するところから始めます。調査の範囲を少しずつ広げていき、問題の発生箇所を特定したら発生条件を見極めます。そして、原因を推定し、対処法を実施、検証するという工程を繰り返し行いましょう。
また、OSごとのトラブルシューティング機能を活用することもおすすめします。問題を早期発見し、影響を最小限に抑えるため、トラブルシューティングの手順をあらかじめ確立しておきましょう。
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