オフショア開発の失敗事例|対策や企業選びのポイントについても解説
オフショア開発とは、ソフトウェアやアプリケーションの開発を海外企業に依頼することです。本記事では、ITエンジニアの増員や、社内のIT体制強化に最適なオフショア開発について解説します。導入においての失敗事例や失敗しないための対策も紹介するため、オフショア開発の社内導入を検討する際の参考にしてみてください。
Contents
オフショア開発とは
オフショア開発(Offshore Development)とは、海外の開発企業や子会社にソフトウェア開発やITインフラの構築・保守などを委託する開発手法です。
主な委託先としては、ベトナム、フィリピン、インドなどがあり、なかでもベトナムは全体の約半分を占めています。これには、英語だけでなく日本語に対応できるエンジニアが多いことや、日本向けのオフショア開発の企業が多く、ノウハウが豊富であることが理由です。
オフショア開発のメリット
自社での対応ではなく、海外に委託するオフショア開発にはどのようなメリットがあるのか解説します。
コスト削減
ITにおける開発には人件費がかかり、開発期間が長ければ長いほどより多くのコストがかかります。
オフショア開発は、日本より賃金の安い国の企業に委託したり、人材雇用をしたりすることになるため、大幅な人件費削減が行えます。株式会社RESORZの「オフショア開発白書2022」によると、オフショア開発導入企業では、平均28.4%ものコスト削減が実現しているという結果も出ています。
人材の確保
昨今の情報化やグローバル化に伴い、IT開発は急務ですが、日本国内ではエンジニア不足が問題になっています。オフショア開発では、海外の人材を集めてIT開発を行うため、人材不足の問題解決にもつながります。
日本の主な委託先であるベトナムでは、国をあげてIT人材の強化を行っており、ノウハウや経験が豊富なモチベーションの高い人材の確保が可能です。
生産性向上
オフショア開発を利用することで、1人あたりの人件費を抑えられるため、プロジェクトに関わる人材を増やすことも可能です。開発にかかる時間の短縮にもなり、スピードが求められるIT業界にも効率よく対応できるため、結果的に生産性や企業の利益向上につながります。
オフショア開発の失敗事例5選
導入メリットの多いオフショア開発ですが、デメリットもあります。ここではオフショア開発による失敗事例を紹介します。
納品物の品質が低い
オフショア開発では、想定よりも品質の低いものが納品される場合があります。この原因は、エンジニアの能力不足である場合もあります。
しかしそれとは別に、依頼した最低限の対応しか行ってもらえなかった。といったケースもあります。日本では依頼書に書かれていないことも汲み取ったり、気を利かせてくれたりすることがあっても、海外ではそのような対応はない場合が多いでしょう。
納期を守ってもらえない
当初計画していた予定通りにプロジェクトが進まず、納期が遅れてしまうリスクもあります。
また、日本では納期は必ず守るという意識がありますが、海外では日本ほどそのような意識がない場合があります。オフショア開発では、依頼先企業における文化の違いも把握したうえで依頼しなければいけません。
開発費用が予算をオーバーしてしまう
委託開発は途中で仕様変更が起きた場合に、追加費用がかかります。これは海外に依頼した場合も同様です。
そのほかにも言葉の壁によって円滑なやり取りができず、当初の計画通りにプロジェクトが進まず、追加費用が必要になる場合もあります。また海外とのやり取りになるため、円安になることで為替の変動が影響して、予算を超えてしまう場合もあるでしょう。
設計と違うものを納品された
コミュニケーション不足により、想定していた物とは異なるものが納品される可能性もあります。
さらに、委託先でプロジェクトメンバーが入れ替わり、引き継ぎがうまくなされていないことが原因で、打ち合わせ通りのものが納品されない可能性もあります。依頼後も適切なやり取りを行い、進捗を把握することが大切です。
機密情報を漏洩されてしまった
海外のセキュリティ管理への意識や対策は、日本と異なる場合があります。コストを抑えようと新興国の委託先に任せたら、日本との情報管理対策に差があり情報漏洩が起きてしまった。ということがないように、依頼先のセキュリティ管理は事前にしっかりと把握しておく必要があります。
オフショア開発で失敗しないための対策
オフショア開発を利用する場合、どのようなことに気をつければ失敗しないのでしょうか。行うべき対策について解説します。
見積もりが極端に安い場合は理由を聞く
経験豊富なSEを集めるのには相応の費用がかかります。それにもかかわらず見積もりが安い場合、思うようにプロジェクトが進行しないばかりか、打ち切りになってしまう可能性もあります。
コミュニケーションを工夫する
双方の認識をそろえるためには、通訳やブリッジSEを入れたり、日本語が通じる場合もわかりやすい言葉で伝えたりする工夫が必要です。文章だけのやり取りではなく、ビデオ通話を利用して顔を見ながら、コミュニケーションを取るのも良いでしょう。
開発人員を固定してもらう
メンバーの入れ替わりが激しいと、引き継ぎが上手くなされず、遅れが生じたり納品物の質が低下したりする恐れがあります。メンバーはなるべく固定してもらうか、引き継ぎマニュアルを用意してもらうなどのお願いをしておきましょう。
設計を詳細まで詰めてから依頼する
あいまいな表現は、海外で日本のようには通じません。依頼する内容は、事前に詳細にまで決めておきましょう。まずは、自社の現状や要件などを記した提案依頼書を作成し、提案依頼書をもとにして仕様を詰めていきます。
納期の設定や進捗管理を徹底する
開発段階を細分化し、段階ごとに細かく納期を設定しましょう。また、スケジュールは全員で把握できるよう可視化します。スケジュールに遅延が生じた場合は、チーム全体や個人レベルで確認し、早急にスケジュールを修正します。
急を要する対応について契約書に盛り込んでおく
納品された開発物をリリースした直後に、想定外のバグが見つかるケースもあります。そうした緊急性の高い修正にも早急に対応してもらえるよう、契約書の段階で緊急対応に関する条件も盛り込んでおくことが大切です。
オフショア開発は依頼する企業の選定が重要
オフショア開発企業のメンバースキルで、納品物の質や進行は大きく変わります。そのため、能力の高いメンバーをアサインしてくれる企業選びが重要です。実績や対応した開発物を可能な限り確認して検討しましょう。
オフショア開発で失敗しないための企業選びのポイント
オフショア開発では、慎重な企業選びが結果を左右します。ここでは、依頼する企業選びで失敗しないためのポイントを解説します。
契約の形態
オフショア開発には2つの形態があります。1つは準委任契約を締結し、稼働人数と契約期間に応じて報酬を支払うラボ型、もう1つは事前に設定した予算で依頼する請負型です。仕様変更にも柔軟に対応できるラボ型か、要件通りの成果物の納品を重視する請負型、予算や目的に応じて検討しましょう。
開発国
国によって言語だけでなく、文化や法律、時差が異なるため、コスト以外にも考慮する必要があります。情勢が不安定な国や、災害が発生している国に拠点がある企業は、プロジェクト進行にリスクが発生する可能性があります。
ブリッジSEの有無
日本と海外の開発チームの意思疎通を円滑にするために、日本語や日本文化に長けている現地スタッフであるブリッジSEは、重要な存在です。依頼先にブリッジSEが在籍しているかどうかも確認しましょう。
品質管理体制
低品質の開発物が納品されないよう、成果物のテストはどのように行っているかの確認も重要です。成果物のテストはどう行っているかやコード品質はどう担保しているかなど、品質管理体制についても事前に把握しておきましょう。
得意分野
開発といってもITの領域は幅広く、オフショア開発企業にもそれぞれに得意・不得意とする領域があります。依頼先の企業が得意な領域が、自社の開発したいものや、ニーズとマッチしているかどうかも見極めのポイントです。
まとめ
オフショア開発は、IT開発において人材の確保やコストの削減に有効な手段です。しかし、企業選定や進行時のコミュニケーション、事前準備は慎重に行う必要があります。
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