SES契約とは?準委任契約との関係やメリット・デメリットを解説

SESベンダーを活用して、エンジニアの確保を計画する企業も増えています。しかし、SESの特徴や契約形態の詳細を確認しておかないと、トラブルに発展する可能性も懸念されるでしょう。本記事ではSESの特徴や準委任契約の詳細、メリット・デメリットなどを解説します。

SESについて

そもそも「SES」とはどんなサービスなのかを把握するのが、エンジニア確保の第一歩です。以下では、SESの基本について解説します。

SESとは(System Engineering Service)の略称

SESとは、「System Engineering Service」の略称で、エンジニアの技術力を提供する契約のことを指します。SESは、クライアントが求める技術を持ったエンジニアを常駐させ、技術力やスキルを職場に提供するサービスです。クライアントとなる自社企業は、エンジニアではなくSESベンダーと契約を結び、労働力となる人材を常駐させる形でプロジェクトに参加してもらいます。

SES契約の特徴について

SESを活用する際の契約形態には、さまざまな特徴があります。詳細を知らずに契約を進めると、後からトラブルに発展する恐れもあります。以下では、SES契約における特徴を解説します。

成果物ではなく業務の遂行に対して報酬を支払う

SES契約では、成果物となるシステムやアプリの完成度ではなく、業務そのものの遂行に対して報酬が発生します。そのため具体的な作業内容や基準となる工数を元に、報酬の金額が決まるのが特徴です。

指揮命令系統がクライアント側にない

SES契約では、エンジニアに指示を出せる指揮命令系統がクライアント側にありません。エンジニアに対して指示を出せるのは、SESベンダーだけです。そのため、現場の判断でSESエンジニアに任せる仕事を変更したり、優先する業務を変えたりといった指示が出せない点に注意が必要です。

SES契約と準委任契約の関係性について

SES契約について知る際には、「準委任契約」の特徴を把握するのも重要です。以下では、SES契約と準委任契約の関係性について解説します。

SES契約は準委任契約と同じ内容

SES契約は、一般的に準委任契約と同様の内容です。準委任契約も成果物ではなく業務遂行に対して報酬を支払う点が特徴ですが、2020年4月に民法が改正され、「成果完成型」による契約が明文化されました。現在は、SES契約で成果物の完成を目的とした契約を結んだ場合、定めた成果を実現しないと報酬の請求ができなくなっています。

SES契約とは異なる契約形態の詳細

エンジニアを採用する際の契約形態には、SES契約や準委任契約のほかにもさまざまなスタイルがあります。以下では、SES契約とは異なる契約形態の詳細について解説します。

SES契約と請負契約の違いについて

請負契約は、基本的に成果物に対して報酬を支払う契約形態です。請負契約では成果物に不具合があった場合、修正対応や損害賠償の請求ができる「瑕疵担保責任」が明記されています。

また、プロのエンジニアとして適切に業務を遂行する責任を問われる「善管注意義務」が記載されている点も特徴です。指揮命令系統に関しては、請負契約もSES契約同様ベンダーが持ちます。

SES契約と派遣契約の違いについて

SES契約と異なり、派遣契約ではクライアントが指揮命令権を持てるのが特徴です。そのため派遣されたエンジニアに対して、現場で柔軟に指示が出せるメリットがあります。

派遣契約も成果物に責任はなく、業務遂行が目的の契約となります。派遣契約はエンジニア1人の常駐から契約できますが、SES契約では原則として作業場に作業者が2人以上おり、かつ、ほかの作業者の管理ができている体制でなければなりません。

作業場の作業者が1人で管理責任者を兼任している場合、発注者からの注文が指揮命令となり、偽装請負と判断される可能性が懸念されるため注意が必要です。

SES契約と委任契約の違いについて

委任契約とは、「法律行為を含んだ契約」のことを指します。法律行為とは、当事者の意思表示によって法的な効果が発生する行為を意味します。

例えば、商品の売り買いには「売買契約」が発生するため、法律行為に該当します。エンジニアの業務には法律行為が含まれないため、委任契約ではなく準委任契約が結ばれる形になっています。

SES契約におけるメリット

SESベンダーとSES契約を結ぶことには、多くのメリットがあります。具体的なメリットを把握した上で、それを活かせる環境整備を進めるのがポイントです。

以下では、SES契約におけるメリットについて解説します。

経験やスキルのあるエンジニアを確保できる

SES契約では、多くの経験やスキルを持つエンジニアを確保できます。SESベンダーは豊富なニーズに対応するため、あらゆる経験・スキルを持つエンジニアを確保しているケースが多いです。

そのためクライアント側は、スムーズに必要な人材を補充できる点がメリットです。具体的に「〇〇ができる人材が欲しい」「エンジニアとして〇〇の仕事を任せたい」と要望を出すことで、ニーズに合ったエンジニアを常駐させられます。

コスト削減につながる

SES契約は、コスト削減につながるメリットもあります。能力の高いエンジニアを補充できるため教育コストがかからず、契約までスムーズに話が進めば採用コストも抑えられます。エンジニア確保にかけられる予算が少ない場合などに、SES契約は役立つでしょう。

SES契約におけるデメリット

SES契約にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットもあります。以下では、SES契約時に注意しておきたいデメリットを紹介します。

成果物に満足できない可能性がある

SES契約の内容によっては、成果物に対する責任を追求できません。そのため成果物の内容に納得できなくても、報酬を支払う必要がある点に注意が必要です。

成果物を重視するのなら、契約時に請負契約を結ぶことが検討されます。

エンジニアに直接命令が出せない

SES契約では指揮命令権がベンダー側にあるため、クライアントから直接命令が出せません。そのため業務内容の変更などを検討しても、その場で命令を下せない点に注意が必要です。

万が一命令した場合には偽装請負となり、罰則の対象となります。大きなリスクを抱える可能性があるため、SESの活用時には命令権について職場に詳細を伝えておく必要があるでしょう。

SESだけでなく「アイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービス」で派遣エンジニアも活用する

エンジニアの確保を目的とするのなら、SESだけでなくエンジニア派遣サービスの活用もおすすめです。以下では、「アイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービス」を参考に、エンジニア派遣サービスの特徴やメリットを解説します。

派遣契約でエンジニアを補充する

エンジニア派遣サービスとは、その名の通りエンジニアを各企業に派遣してそのスキルを活かして働いてもらうサービスです。SES企業と同様に豊富なスキルを持つエンジニアを確保しているケースが多く、あらゆるニーズに応えられます。

アイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービスでも、2,000名を超える派遣エンジニアを正社員雇用しています。それぞれのエンジニアが高い能力と固有のスキルを確保しているため、「今欲しい人材」を派遣できます。

また、エンジニア派遣サービスでは、契約方法が「派遣契約」になるため指揮命令権がクライアントにあり、適宜指示が出せるのもメリットです。業務方針の転換などに合わせて柔軟に指示が出せるため、エンジニアの能力を最大限に活用可能です。

まとめ

SES契約には多くの特徴があるため、契約時にはまず詳細を確認しておく必要があります。特に指揮命令権の行使による偽装請負の可能性については、十分に注意しましょう。

エンジニアが不足しているのなら、SESだけでなく、エンジニア派遣サービスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。派遣契約ではエンジニアが柔軟な対応をしてくれるため、必要な業務を的確に進めてくれます。この機会にアイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービスにご相談いただき、契約における詳細をぜひご確認ください。

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