SESの引き抜きは違法?訴訟に発展しやすいケースやリスクなども解説
SESエンジニアのなかに優秀な人材がいた場合、自社で直接雇用したいと考えることもあるでしょう。しかし、SESの引き抜きは基本的に控えるべきです。本記事では、SESの引き抜きにおけるリスクについて解説します。SESの引き抜き以外でエンジニアを獲得するためのポイントも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
Contents
SESの引き抜きはよくあること?
SES(System Engineering Service)は、IT業界における契約形態の1つであり、顧客の企業に対してエンジニアの技術力を提供するサービスを指します。提供されるエンジニアはSES企業に所属する人材ですが、提供先の企業がSESエンジニアを引き抜くケースもゼロではありません。
たとえば、仕事ぶりを見て優秀な人材に声をかける、またはSES契約が終了する際に自社に残って欲しい人材を勧誘するといったケースが考えられるでしょう。なかにはエンジニア本人が引き抜きを希望する場合もあります。
SESの引き抜きが起きる主な原因
SESの引き抜きが起きる主な原因は次の4つです。
- 能力や人柄を把握できるため
- 採用コストを抑えられるため
- 即戦力となるため
- SESエンジニアにとってもメリットがあるため
それぞれ、以下で詳しく解説します。
能力や人柄を把握できるため
SES契約では、SESエンジニアに自社のオフィスで働いてもらう形式が一般的です。そのため、一緒に働くなかで、その人の能力や人柄などを把握することが可能です。
適性を見極めたうえで採用できるため、本当に優秀なのか、職場になじんでくれるのか分からない人材を採用するよりも、企業にとってメリットが大きいといえます。
採用コストを抑えられるため
SESエンジニアの引き抜きは、いちから採用活動をする場合と比べて求人広告の費用がかからず、人事担当者の業務負担も軽減されます。採用コストをカットしながら、優秀な人材を確保しやすい点がメリットです。
即戦力となるため
SESエンジニアはすでに現場での就業経験があることから、即戦力としての働きを期待できます。
これまでも自社で実務をこなしてきたエンジニアであるため、引き抜き後もスムーズに業務を遂行できるでしょう。
SESエンジニアにとってもメリットがあるため
引き抜きは、エンジニア側にとっても「収入アップにつながる」といったメリットがあります。働く環境もそれまでと変わらず、すでに客先との信頼関係を築けている場合も多いため、働きやすい点もメリットです。
そのため、現在の勤め先よりも好条件を提示されると、リスクは承知しつつも引き抜きを受けるエンジニアは少なくないでしょう。
SESの引き抜きは違法?
SESの引き抜きを取り締まる法律はなく、違法性はありません。ただし、業界内には引き抜きはタブーという風潮があり、トラブルに発展する可能性もあります。そのため、法的には問題なくてもSESの引き抜きは基本的に控えるべきでしょう。
SESの引き抜きが訴訟問題に発展するケース
SESの引き抜きは原則違法ではありませんが、以下のようなケースではSES企業から訴えられる恐れがあります。
計画的な引き抜き
長期間かけて転職を持ちかけたり、雇用主に勧誘を受けたことを伏せるように指示したりといった行為は、単なる勧誘の域を超えているとみなされます。こうした計画的な引き抜きを行った場合、悪質と判断され、SES企業から訴えられる恐れがあるでしょう。
大量の引き抜き
一度に複数人を引き抜くと、SES企業は多くのエンジニアを失うことになります。こうした大量の引き抜きはSES企業の存続を脅かすことにもなりかねないため、訴訟問題に発展する恐れがあるでしょう。
SESの引き抜きによるリスク
SESの引き抜きは、訴訟以外にも次のようなリスクがあります。
- 業界内での信用が下がる恐れがある
- SES企業との関係性が悪化する
- エンジニアにストレスをかけてしまう
- 引き抜き後の配慮が必要
それぞれ、以下で詳しく解説します。
業界内での信用が下がる恐れがある
たとえ訴訟問題に発展しなかったとしても、引き抜きは業界ではタブーとされているため、基本的には控えるべきです。エンジニアを引き抜いたことが知られると、他のSES企業から敬遠されたり、業界での評判が下がったりするリスクがあります。
SES企業との関係性が悪化する
SESエンジニアを引き抜くと、もともとの提供元であるSES企業からは、それ以降エンジニアを提供してもらえなくなる可能性が高いでしょう。引き続きSESを活用したい場合は、別のSES企業を探す必要があり、選定や契約に手間がかかってしまいます。
エンジニアにストレスをかけてしまう
引き抜きを行うと、エンジニアにも肩身の狭い思いをさせてしまう可能性があります。元の企業での交際関係まで失われるため、孤独を感じさせてしまう場合もあるでしょう。
プロジェクトにもといた企業のSESエンジニアが参画しており、気まずさから仕事がしにくくなるケースもあります。引き抜きに応じたことで業界での信用を失い、キャリアアップの妨げになる可能性も否定できません。
引き抜き後の配慮が必要
SESエンジニアを引き抜く場合、引き抜き元の企業が関わる案件からは外すなど、トラブルを避けるためになにかと配慮が必要です。
エンジニアが所属していた企業や関係各社に引き抜きの事実を隠そうとすると、気を遣うべきポイントがさらに増えます。
SESの引き抜き以外でエンジニアを獲得するためのポイント
SESの引き抜きに違法性はないものの、さまざまなリスクがつきまといます。リスクを侵してSESエンジニアを引き抜くよりも、次のようなポイントを押さえつつ自社採用を強化しましょう。
求める人物像を明確化する
優秀なエンジニアを獲得するためには、スキルや経験、人柄など、求める人物像のペルソナを設定することが大切です。現場の意見を取り入れながら、自社に必要なエンジニアについて、具体的な人物像を描きましょう。
ただし、あまりに理想を高く設定しすぎると、希望条件に合う人材が見つからない可能性もあります。また、提供できる待遇や環境などを含めて「自社にきてもらえるか?」という観点を持つことも重要です。
入社後の環境を整える
エンジニアは売り手市場のため、求職者に魅力を感じてもらえるような職場づくりに取り組みましょう。
意欲的なエンジニアは「自己成長につながるか」を重視するため、研修制度を充実させることが重要です。また、フレックスタイム制やリモートワークなどを取り入れ、働きやすい環境を整えることで求職者に選ばれやすくなります。
新卒や未経験者の採用も視野に入れる
エンジニア採用では即戦力を求める企業が多いため、中途採用に限定しているケースも少なくありません。しかし、経験者は市場での需要が高いため、人材が求める条件を企業側が提示できない場合もあります。
経験者採用に苦戦している場合は、プログラミングの知識がある新卒や未経験者の採用も視野に入れると、自社と相性のよい人材が見つかる可能性が高まるでしょう。
自社採用が難しい場合はエンジニア派遣もおすすめ
エンジニア派遣とは、エンジニアの派遣に特化した人材派遣サービスです。希望する人材の条件を伝えると、人材派遣会社に雇用されているエンジニアのなかから条件に合う人材を派遣してもらえます。
人材派遣会社と派遣スタッフの契約形態には、有期雇用の「登録型派遣」と無期雇用の「常用型派遣」がありますが、エンジニア派遣は常用型派遣が多い傾向です。
形態としてはSESと似ていますが、SESではエンジニアはSES企業の指揮下にあるのに対し、エンジニア派遣ではエンジニアは派遣先企業の指揮下に置かれます。
エンジニア派遣のメリット
エンジニア派遣のメリットは、採用・教育コストをかけずに、即戦力となるエンジニアを確保できる点です。さらに、派遣契約は派遣先の企業に労働者への指揮命令権があり、エンジニアへの直接指示が可能です。自社採用と比べてコストを削減しつつ、業務の進行やコミュニケーションをスムーズに行えるでしょう。
まとめ
SESの現場では、エンジニアの引き抜きが実際に行われています。能力や人柄を把握したうえでエンジニアを採用できる点はメリットですが、業界内での信頼が低下したり、SES企業との関係性が悪化したりと、なにかとリスクもあります。また、エンジニア本人の評判を下げ、キャリアの妨げになってしまう恐れもあるため、SESの引き抜きは基本的に控えるべきです。
自社採用が難しい場合は、エンジニア派遣サービスの活用も検討してみましょう。もし、ITインフラエンジニアをお探しなら、アイエスエフネットのITインフラエンジニア派遣サービスをご活用ください。
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