SIerの魅力とは?業務内容や選び方を解説

ITに関わる人材不足を補う手段としてSIerがあります。当記事では、SIerの概要やSIerを活用する魅力などについてわかりやすく解説します。SIerの活用を検討している人は参考にしてください。

SIerとは

SIerとは、「System Integrator(システムインテグレーター)」の略称であり、クライアントのシステム開発に関わるすべての業務を請け負う企業のことを指す言葉です。

SIerは、業務システムや基幹システムの設計、開発、導入サポート、保守運用まで幅広い業務に対応しています。

SESとの違い

SIerは開発を担当する企業を指していますが、SES(System Engineering Service)は契約形態を指しています。そのため、そもそも比べるベースが異なります。

契約形態の観点で比べると、SIerは業務の成果に応じて報酬を受け取るため、請負契約を結びます。SESは、準委任契約の締結が一般的であり、成果物の納品をする義務はありません。

SIerの歴史

もともとはSI(System Integration)として、1987年を境に広まったサービスであり、この時期からSIを提供するSIerが誕生したといわれています。

当時は、多くの企業がITに対してリソースを割ける状況ではありませんでした。そのような状況のなか、通商産業省(現在の経済産業省)による「システムインテグレーション認定制度」の後押しもあり、多くの企業にSIerの存在が浸透していったのです。

SIerの種類

SIerは、下記5つの種類に分けられます。

名称概要特徴
メーカー系パソコンメーカーなどの情報システム部門が独立してできたSIer・経営面が安定している
・ワンストップでクライアントにシステムを提供
ユーザー系銀行や保険会社などの情報システム部門が独立してできたSIer・経営面が安定している
・親会社の案件から他社案件まで広く受注
外資系日本で事業を展開している海外企業のSIer・コンサルティングから開発まで連携することが多い
・海外で開発したパッケージ等を日本企業に導入
独立系親会社を持たない独立したSIer・自由度が高い経営を行っている
・開発案件の種類が豊富
コンサル系コンサルティング業務を主軸に置くSIer・課題解決のための提案を行う
・クライアントの経営戦略に応じて開発を行う

それぞれ得意とする領域が異なるため、SIerを活用する際には、どのSIerに依頼するのかを明確にしておきましょう。

SIerを活用する魅力

ここからは、SIerを活用する魅力について解説します。

エンジニア不足を解消できる

経済産業省が2019年3月に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると予測されています。このように、日本ではIT人材の不足が叫ばれていますが、SIerを活用すれば社内のエンジニア不足を解消できるでしょう。

また、SIerに依頼をすれば、システムの設計、開発、運用、保守まですべての工程を任せられます。自社でシステムを構築、運用する必要がなくなる点は大きなメリットといえるでしょう。

※参考:「-IT人材需給に関する調査- 調査報告書」|経済産業省

既存システムを活用できる

多くの日本企業は新しいシステムの導入が進んでおらず、既存のシステムをそのまま使っています。既存システムを運用、保守していくためにはSIerの存在が欠かせません。新たに予算や時間をかけてシステムを構築する必要がない点は、SIerを活用するメリットです。クラウド化への対応が遅れている場合には、SIerに依頼するとよいでしょう。

DXに対応できる

多くの企業において、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の波が広がっています。DXとは、デジタル化によって社会のあり方を変えていく取り組みです。

DX化が求められるなかでは、システム開発のノウハウを持っているSIerはDX推進においても力を発揮するでしょう。各SIerは、DXに関して何を提供できるかについての戦略を立てているため、その恩恵を受けてDX化を進められる点は大きなメリットです。

ITコンサルを依頼できる

企業のITコンサルを請け負っているコンサル系SIerも、SIerの種類の一つです。

コンサルティングをメインとしているため、ITに関して困ったことがあれば都度相談できるでしょう。IT化とあわせて社内の課題解決を図りたい際には、有効な選択肢です。

SIerに依頼する業務内容

ここからは、SIerに依頼する業務内容について解説します。

要件定義

SIerは、システムの要件定義を担当します。どのような目的でシステムを必要としているかヒアリングをしてくれるため、つくりたいシステムの概要や要望については、このタイミングで伝えましょう。

ヒアリングのうえ、システムに必要な機能や性能などを定義し、設計を進めてくれます。

設計・開発・テスト

SIerは要件定義が終わった後、システムの設計・開発を進めていきます。

具体的には、ハードウェアやデータベース、業務、プログラミングなどの設計をした後、設計書をもとにして開発を進めていく流れです。あわせてハードウェアやソフトウェアの選定を行い、システムの完成後には問題なく動作するかのテストも行います。

運用・サポート

システムを完成・納品したら、その後の運用とサポートにもSIerは対応してくれます。

トラブルなどにも対応してくれるため、有事の際には連絡するとよいでしょう。安定稼働した後は、開発を請け負ったSierではなく、運用・サポート専門の企業が担当するケースもあります。

SIerを選ぶポイント

ここからは、Slerを選ぶポイントについて解説します。

得意な分野

SIerを選ぶ際には、相手の得意分野を見極めることが重要です。

SIerごとに得意な開発分野は異なります。特定の言語を用いた開発に特化している、医療系システムのノウハウを多く持っているなど、強みとしている点はSIerそれぞれです。

そのため、依頼したい内容や必要なシステムと、SIerの得意分野が一致した際に依頼をすれば高い成果を見込めるでしょう。

開発実績

SIerを選ぶ際には、相手の開発実績を確認しましょう。開発実績が十分、あるいは求めるシステムに似た内容を開発した実績があれば安心して依頼できます。

開発実績を確認する際には、ホームページなどを参考にすることをおすすめします。もしホームページに載っていなければ、SIerの担当者に直接確認するのも有効な手段です。

SIerを選定する際の注意点

ここからは、SIerを選定する際の注意点について解説します。

納品後の対応を確認する

SIerによって納品後の対応は異なるため、あらかじめどのようにサポートしてくれるのかを確認しておきましょう。

納品後の保守や運用についても相談に応じてくれないと、トラブル発生時の対応が後手に回る可能性があります。後からシステムに機能を追加するケースもあるため、あらかじめサポート体制について確認しておくとよいでしょう。

業績が安定しているかをチェックする

業績が安定していないSlerを選ぶと、倒産した際にどう対応するかのリスクを抱えることになります。

保守、運用にも対応してもらうため、長期的な付き合いを見据えて選定すると間違いが起こりにくくなります。安心して任せるためにも、事前リサーチを徹底するよう心がけましょう。

SIerに依頼する際の費用目安

どのようなシステムを構築するかによって、SIerに依頼する際の費用は異なります。大まかな費用の目安は、下記表のとおりです。

システム費用の目安
業務支援・基幹システム開発(パッケージ開発)100万〜400万円
業務支援・基幹システム開発(スクラッチ開発)600万〜2,000万円
Webシステム開発(オープンソース利用)50万〜1,000万円
Webシステム開発(オーダーメイド)500万〜1,000万円
アプリ開発100万円〜1,000万円

依頼前に、費用の概算をある程度確認しておきましょう。
あくまで相場の目安なので、企業によって費用は異なる点に注意してください。

※参考:システム開発の費用相場は?料金が変動する要因や費用を抑えるポイントを解説|比較biz

まとめ

SIerを活用するメリットは、エンジニア不足を解消できる、既存システムを活用できるなどさまざまあります。SIerの活用に魅力を感じた方は、ぜひ自社の目的に合うSIerを選定してみてはいかがでしょうか。

また、インフラ面や運用・保守など、長期的なプロジェクトに参画してもらいたい場合は、エンジニア派遣もおすすめです。

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