特定派遣とSESの特徴とは|エンジニア派遣とSESはどちらがおすすめか解説

IT人材の不足に悩み、外部の人材の活用を検討する企業は多くあります。IT業務を外注するにはさまざまな方法がありますが、そのなかでも「特定派遣」や「SES」という言葉を目にする機会は比較的多いでしょう。本記事では、特定派遣とSESとはどのようなものなのか、それぞれ解説します。

特定派遣とは?

特定派遣とは、特定労働者派遣事業の略称です。人材派遣会社と常時雇用契約を結ぶスタッフが、案件ごとに派遣先企業で就労する形態を指します。つまり、特定派遣は人材派遣の1種です。

SESとは?

SESとは「System Engineering Service」の略称です。エンジニアを雇用する企業に依頼して、ニーズに合う人材を派遣してもらい、自社で働かせる形態を指します。

SESの契約形態

SESを利用する際には、エンジニアを抱える企業と「SES契約」を結びます。SES契約は準委任契約にあたり、これは業務委託契約の1種です。なお、特定派遣のような人材派遣とは異なり、SESのような業務委託は発注元に指揮命令権がありません。

特定派遣とSESの違い

特定派遣は人材派遣の1種なのに対し、SESは業務委託の1種です。両者の最大の違いは、指揮命令系統です。人材派遣は派遣先が指揮命令権を持ちますが、業務委託では受託元が指揮命令権を持ちます。

特定派遣は2015年に廃止されている

特定派遣は2015年に廃止されており、現在は存在しない派遣形態です。2018年までは経過措置期間が設けられていましたが、現在はそれも終了しています。

特定派遣の廃止後は、人材派遣は一般労働者派遣と合わせて、労働者派遣事業に一本化されました。
一般労働者派遣とは、派遣会社に常時雇用されていないスタッフを派遣する形態です。なお、一本化後は、基本的に一般労働者派遣のルールがベースとなっています。

特定派遣が廃止された理由とは?

ここからは、特定派遣が廃止された理由を解説します。

常時雇用を守らない企業の増加

本来、特定派遣は常時雇用を前提とした働き方ですが、実際にはルールに違反して、有期雇用で労働者を雇う企業が多くありました。無期雇用は派遣先が決まっていない期間も労働者に賃金を支払う必要があるため、それを逃れようと不正を働く企業が多かったとみられます。

派遣労働者の雇用の不安定化

ルールに違反して派遣労働者を有期雇用で使用する派遣会社が増えた結果、契約が短期で終わってしまうケースもあります。また、特定派遣は許認可制ではなく届出制だったため、参入障壁が低く資金力の少ない企業が事業を手掛けることもありました。

その結果、起こった事態が派遣労働者への給与の未払いや解雇です。このように派遣労働者の雇用が不安定化したこともあり、特定派遣は廃止に至りました。

現在の労働者派遣と特定派遣の違い

現在の労働者派遣と特定派遣には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。「参入障壁」と「契約形態」の2つの観点から、それぞれの違いを解説します。

参入障壁

特定派遣は届出制なのに対し、現在の労働者派遣は許認可制です。人材派遣事業を始めるためには、厚生労働省から「労働者派遣事業許可」を取得する必要があります。

契約形態

特定派遣は、無期雇用を前提としたものでした。一方、現在の労働者派遣は、登録型派遣と無期雇用派遣に分かれます。

登録型派遣労働者はあらかじめ派遣会社に登録しておき、就業が決まった時点で有期雇用契約を結ぶ形態。
無期雇用派遣労働者と派遣会社が無期雇用契約を結ぶ形態。派遣先での就業が終わっても、労働者と派遣会社の雇用関係は継続される。

エンジニア派遣やSESを活用するメリット

エンジニア派遣やSESを活用するメリットは、以下のとおりです。

  • 採用・教育コストを削減できる
  • 必要な人材をピンポイントで確保できる
  • 優秀な人材を活用できる

それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。

採用・教育コストを削減できる

エンジニア派遣やSESでは、すでに一定の経験やスキルを持つ人材を活用できます。自社のエンジニアが不足している場合は人員の確保に加え、即戦力としてプロジェクトに参画してもらえるでしょう。また、自社で人材を確保する場合と比べて、採用・教育コストがかかりにくい点がメリットです。

必要な人材をピンポイントで確保できる

必要なスキルを持つ人材を、必要な期間だけ確保できるというメリットもあります。自社のニーズに合う人材を、ピンポイントに活用することが可能です。その結果、より効率的に業務の遂行が可能になるでしょう。

優秀な人材を活用できる

派遣エンジニアやSESエンジニアはさまざまな現場を経験している場合が多く、即戦力としての働きを期待できます。さまざまな案件に参画してきたため、知識やノウハウだけでなくトラブルへの対応力や、判断力も高い傾向があるでしょう。経験豊富なエンジニアと働くことは、自社のエンジニアにとってもよい刺激となります。

エンジニア派遣やSESを活用するデメリット

エンジニア派遣やSESを活用するデメリットは、以下のとおりです。

  • 技術やノウハウが蓄積されにくい
  • 帰属意識は期待できない
  • 契約期間中にプロジェクトが完了しない場合もある

それぞれのデメリットについて、以下で詳しく解説します。

技術やノウハウが蓄積されにくい

自社のエンジニアであれば、働くなかで会社にノウハウが蓄積されていきます。一方、派遣エンジニアやSESエンジニアは社外の人材なため、自社にノウハウが蓄積されにくい点がデメリットです。

帰属意識は期待できない

派遣エンジニアやSESエンジニアは、自社のエンジニアと比べると、どうしても帰属意識を持ちづらい側面があります。チームやプロジェクトに愛着を持ってもらうためには、就業中のフォローやコミュニケーションが不可欠です。

契約期間中にプロジェクトが完了しない場合もある

派遣契約やSES契約には、契約期間が定められています。とくに人材派遣には「3年ルール」があるため、注意が必要です。3年ルールとは、同じ派遣スタッフを、同じ部署で3年を超えて使用することはできないというルールです。長期的に活躍してもらいたい場合は、自社での雇用も検討した方がよいでしょう。

エンジニア派遣とSESはどちらを選ぶべき?

次に、エンジニア派遣とSESが向いている企業の特徴をそれぞれ解説します。

エンジニア派遣が向いている企業

人材派遣とSESの最も大きな違いは、派遣先に指揮命令権がある点です。業務について直接指示が出せるため、業務のやり方について現場で細かく指示を出しながら働いてもらいたい場合に向いています。ただし、人材派遣と業務委託を比較すると、一般的には業務委託の方がコストはかかりやすい傾向があります。

SESが向いている企業

SESは業務委託契約なため、エンジニアへの直接指示は禁止されています。一方で、人材派遣のように「3年ルール」は適用されないため、契約次第では長く働いてもらうことも可能です。優秀なエンジニアを長期間使用したい場合に向いているといえるでしょう。

エンジニア派遣やSESを活用する際の注意点

最後に、エンジニア派遣やSESを活用する際の注意点を紹介します。

エンジニア派遣を活用する際の注意点

エンジニア派遣には契約期間の制限があり、人材の選考も禁止されているなど、派遣法によるさまざまな規制があります。派遣労働者への禁止事項を把握し、法律に抵触しないよう注意しましょう。

SESを活用する際の注意点

SESを活用する場合は、偽装請負にならないよう注意が必要です。偽装請負とは、形式上は業務委託契約を結び、実態としては派遣労働者のように働かせることを指します。そのため、SES契約を結ぶ際は、指揮命令に該当するケースをしっかり把握しておきましょう。

まとめ

特定派遣とは、派遣会社と派遣スタッフが常時雇用契約を結ぶ派遣形態です。特定派遣は2015年に廃止されており、現在は「労働者派遣事業」に一本化されています。一方、SESとは、ほかの企業から自社にエンジニアを派遣してもらう形態のことです。仕組みとしては似ていますがSESは労働者派遣契約ではないため、エンジニア派遣とは異なり、派遣先に指揮命令権はありません。

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