ITインフラエンジニアとSREとの違いとは|SREの仕事内容や求められるスキルも解説

SREエンジニアとは、Webサイトやサービスのよりよい運営を実現するための職種です。この記事では、SREエンジニアとITインフラエンジニアの違いについて触れたうえで、SREエンジニアに求められるスキルや知識について解説します。企業がSREを推進する手順やSREに必要な3つの指標についても詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

SREの概要

そもそもSREとは何でしょうか。ここでは、SREエンジニアの概要とSREが求められる背景を解説します。

SREエンジニアとは

SREエンジニアとは、Webサイトやサービスの価値を向上させるためのエンジニアです。SREは「サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(Site Reliability Engineering)」を表しています。システムの管理とサービスの運用についてのアプローチ方法であり、Googleが提唱しました。

SREが求められる背景

Webサイトやサービスにおいては、SREが特に求められるようになっています。その背景には、アジャイル型の開発手法が多くなっている状況があります。アジャイル型の開発手法では開発部門と運用部門の間にギャップが生まれる可能性があるため、SREにより課題が発生しないようにすることが大切です。

SREとITインフラエンジニアの違い

SREエンジニアとITインフラエンジニアを比較すると、業務範囲や求められるスキルに違いがあります。以下で詳しく解説します。

業務範囲の違い

ITインフラエンジニアは、あくまでもITインフラに関わる業務にのみ対応します。それに対してSREエンジニアは、信頼性を向上させるための活動全般が業務範囲となっています。

また、ITインフラエンジニアはITインフラの構築、運用、改善などには対応するものの、アプリケーション側には責任をもちません。しかし、SREエンジニアは、アプリケーション側への対応も可能です。

求められるスキルの違い

ITインフラエンジニアには、ITインフラに関する知識や技術力などが必要です。一方、SREエンジニアには、アプリケーション開発をする技術力やアプリケーションに関する深い知見が求められています。

SREとDevOpsの違い

SREとDevOpsはいずれも開発を進める際に活用される方法論ですが、目的がそれぞれ異なります。SREの目的は、ITインフラの整備や自動化ツールの開発などにより、Webサイトやサービスの信頼性を維持向上させることです。それに対してDevOpsの目的は、開発者と運用者の協力によりリリースサイクルを短縮することです。

SREエンジニアの仕事内容

ここでは、SREエンジニアの仕事内容を具体的に解説します。

障害対策をする

SREエンジニアの重要な仕事として、障害対策があります。リリースする前のシステムのバグやエラーなどに対処し、障害の発生を未然に防ぎます。具体的には、修正バッチの用意や、アクセスの集中の予測に対するサーキットブレーカーの導入などです。これらの障害対策の徹底により、システムを安定的に活用しやすくなります。

システム運用に取り組む

SREエンジニアは、一般的なITインフエンジニアと同様の業務にも携わります。たとえば、サーバーやネットワークの構築、運用、保守などに対応する場合も多いです。また、ミドルウェアのパフォーマンス向上に取り組むケースもあります。企業やプロジェクトによっても、システム運用に関する具体的な仕事内容はさまざまです。

システムを自動化する

すでに触れたとおり、SREエンジニアはアプリケーション側の業務にも対応できます。主に対応する業務は、システムの自動化です。たとえば、ログの自動解析ツールやスプレッドシートの自動更新ツールなどを作成する場合もあります。

SREエンジニアに求められる知識やスキル

SREエンジニアは専門性が高く、さまざまな知識やスキルが必要です。具体的にどのような知識やスキルが必要か解説します。

ITインフラへの知見

SREエンジニアの業務はシステムの運用がメインであり、ITインフラに対する知見が必須です。具体的には、ネットワークプロトコルに関する知識、ミドルウェアに関する知識、パフォーマンスの改善のための知識などが求められています。ITインフラに関する高い専門性が必要です。

アプリケーションを開発・保守、運用する能力

SREエンジニアはアプリケーション側にも対応して各種ツールを開発するため、アプリケーションの開発に関する知識やスキルも必要です。最適な運用を促す役割も果たすには、保守や運用についても知見をもっていなければなりません。

具体的には、Linux OSやPHP、MySQL、Pythonなどによる開発ができる必要があります。

セキュリティに関する知識

セキュリティ対策はSREエンジニアの業務範囲ではないものの、知識があると役立つ可能性が高いです。サイバー攻撃や情報漏洩といった基本的なセキュリティに関する知識があるとよいでしょう。

SREエンジニアにおすすめの資格

SREエンジニアとして取得しておくと役立つ資格もあります。以下で具体的に解説します。

Cisco Certified DevNet Associate認定

Cisco Certified DevNet Associate認定は、シスコプラットフォーム上でのアプリケーションの開発や運用についてスキルを証明するための資格です。試験では、シスコプラットフォーム向けのソフトウェア開発やデザインの基礎的な能力が問われます。

AWS認定

AWS認定とは、AWSについてのスキルを認定するベンダー資格です。基礎レベル、アソシエイトレベル、プロフェッショナルレベル、専門知識の4つのレベルに分かれています。SREエンジニアとしての実務に役立つ資格は、アソシエイトレベル以上だといわれています。

SREを推進する手順

SREを推進するには手順を踏む必要があります。以下で詳しく解説します。

SREチームを組む

まずは専任のメンバーを集めてSREチームを編成しましょう。基本的には、ソフトウェアエンジニアを中心とするチームにする必要があります。ただし、半数は他のスキルをもつエンジニアにすると、より幅広い視点からアイデアを出しやすくなります。

必要な指標を設定する

SREの推進に向けて必要な指標を設定します。具体的には、サービスの品質を測る指標であるSLIを算出し、それに基づいてサービスの信頼度を測るためのSLOを設定しましょう。SLOを基準とし、基準を下回った場合は顧客に何らかの保証を行う必要があります。この保証はSLAと呼ばれています。

SLI、SLO、SLAの詳細については後述するため、あわせて参考にしてください。

自動化や省力化を進める

SREの取り組みにおいては、運用工数の増大を防ぐために自動化や省力化を積極的に進める必要があります。自らプログラムを書いて自動化や省力化する場合が多いです。可能な限り動化や省力化に取り組むと効率的に業務を進めやすくなり、スピード感のある開発を実現できます。

運用の改善を目指す

SREでは、運用の改善が重要です。運用業務の問題点を見つけ、改善方法についての詳細を検討しましょう。具体的には、サービスの今後の成長に関する予測の結果に見合うキャパシティを確保するキャパシティプランニングを行ったり、トラブルシューティングのヒントとして役立つ手順書を作成したりする方法があります。

SREに必要な3つの指標

SREには「SLI」「SLO」「SLA」という3つの指標があります。以下でそれぞれ解説します。

SLI

SLIとは、サービスの品質を測るための指標です。SLIは「Service Level Indicator」の略称であり、日本語で表すと「サービスレベル指標」となります。具体的には、HTTPレスポンスの平均応答時間やサーバーの稼働率などが該当します。

SLO

SLOとは、サービスの信頼度を測るための指標です。SLOは「Service Level Objective」の略称であり、日本語では「サービスレベル目標」と表現できます。状況に応じ、信頼を得るためにどのようなサービスのレベルを維持する必要があるか示す目的で活用されています。

SLA

SLAとは、顧客に提供するサービスの信頼性やレベルに関する契約のことです。SLAは「Service Level Agreement」の略称であり、日本語に訳すと「サービスレベル契約」となります。SLOの基準を下回った場合の顧客への保証内容を示すために使用されます。

まとめ

SREエンジニアは、ほかのITエンジニアとは異なるさまざまな特徴があります。アプリケーション側の業務にも対応可能であり、自らプログラミングを行う場面も多いです。

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