トラブルシューティングの代表的な例12選を紹介|対処のポイントと考え方の基本
「トラブルシューティングマニュアルを作りたい」「トラブルへの対処法をまとめたい」などの目的で、具体的な事例を探している人に向けて、トラブルシューティングの事例を12例紹介します。トラブルシューティングで大切な考え方や、マニュアル化のメリットなども解説しました。自社に最適なトラブルシューティングのあり方を考えるヒントとして、参考にしてください。
Contents
トラブルシューティングとは何か
トラブルシューティングとは、起こった問題の原因を究明し解決する一連のプロセスです。正しい初期対応により、問題の深刻化を防ぐ役割もあります。自己流や主観的なアプローチではなく、ロジカルに考えることが大切です。
トラブルシューティングが網羅する領域
トラブルシューティングという言葉は、一般的に機械・ソフトウェアの周辺で使われます。網羅する領域は、主に次の2つです。
- 実際にトラブルが起きた場面での具体的な対処法
- 想定される課題と対処法のまとめ
トラブルシューティングの例1:パソコン・周辺機器のトラブル
実際のトラブルシューティングにはさまざまな事例があります。ここでは、パソコンや周辺機器に関するトラブルシューティングの例を解説します。
パソコンの電源が入らない
パソコンの電源が入らないトラブルでは、最初に電源コンセントの接続・バッテリー充電量を確認します。そのうえで、以下の想定原因ごとに対処を進めます。
- 電源ボタンの故障
- マザーボードの故障
- バッテリーの劣化
- 機械の物理的な劣化
- 部品の接触不良
- 電源冷却ファンの回転不良(ほこりが溜まっている) など
OSが起動しない・再起動を繰り返す
OSが起動しない、再起動を繰り返す、Microsoft Windowsが青い画面のまま停止するなどの場合、複合的な原因であることも少なくありません。複数の要因を検討し、問題点を切り分けながら対処を進めます。
- メモリにエラーがある
- ハードディスクに問題がある
- 熱暴走している
- ウイルスに感染している など
パソコンの電源が勝手に落ちる
予期せずパソコンの電源が落ちるトラブルは、ほこりが原因でよく起こります。ほこりが通気口や冷却ファンを塞ぎ、パソコン本体を過熱状態にするためです。本体のほこりを取り除き、きれいにしてから、想定される要因ごとに対処しましょう。
- CPUファンの故障
- 電源ボックスの故障
- 充電の不具合 など
キーボード・マウスが反応しない
パソコンに接続したキーボードやマウスが反応しないトラブルは、以下の原因が考えられます。
- キーボード
特定キーのみ反応しない:ゴミが詰まっている
全体が反応しない:配線に不具合が起きている - マウス
ボール型:ゴミが詰まっている
ワイヤレスタイプ:電池や充電切れ
パソコン本体・アプリの動作が遅い
パソコン本体、あるいはアプリの動作が遅い場合、原因は複数考えられます。
- ハードディスクのスペック不足
- CPUやメモリの不足
- ゴミやほこりによる過熱 など
原因を切り分けて対処することが大切です。スタートアップの確認やバックグラウンドで稼働中のソフトの確認、メモリの増設やSSDへの交換など、1つずつ対処します。
ノートパソコンの液晶画面を割ってしまった
軽量化・薄型化が続くノートパソコンは、「液晶画面が割れた」というトラブルもよく見られます。割れた液晶画面は、新しいものと交換しなければなりません。
まず、液晶が割れたパソコンに適合する画面が取り寄せ・交換可能か、確認します。取り寄せも交換も可能な場合、新しい画面を取り寄せて交換してください。交換後は、正常に動作するか確認します。
必要なデータを消してしまった
データの復元は簡単ではありません。まず、データのバックアップを日ごろから啓蒙しておくことが大切です。
誤って必要なデータを消去した場合のトラブルシューティングは、以下の通りです。
- ごみ箱の中を確認
- 以前のバージョンからの復旧可否を確認
- ファイルの履歴からの復元可否を確認
- システムの復元ポイントからの復元可否を確認
- データ復元ソフトを利用
以上を試しても復元できない場合は、専門の業者に依頼します。
プリンターにつながらない・印刷できない
プリンターに接続できない、印刷できないなどのトラブルシューティング例は、以下の通りです。
- 接続できない:ケーブルの接続、パソコンの設定、プリンター本体が正常かを切り分けて確認
- 接続できるが印刷できない:インク切れ、ヘッドの目詰まりがないか確認
トラブルシューティングの例2:インターネット関連のトラブル
インターネット接続関連のトラブルシューティング例を4点解説します。
パソコンがインターネットにつながらない
パソコンがインターネットにつながらなくなる原因は、多岐にわたります。「有線ではつながるが、Wi-Fiでつながらない」「スマートフォンはつながるが、パソコンだけつながらない」「特定のパソコンだけつながらない」など、状況もさまざまです。まずは現象を整理し、考えられる可能性を1つずつ切り分けながら対処します。
メールサーバーにログインできない・メールを送受信できない
メールに関するトラブルでは、以下の例がよく見られます。
- メールソフトが起動しない
- メールの送受信ができない
- メールの送信・受信のいずれかができない など
現象を精査し、問題点を切り分けながら対処します。どの場合も、メールアプリの設定確認から始めることが基本です。
共有フォルダ・ファイルにアクセスできない
クラウドや自社サーバーの共有フォルダ・ファイルにアクセスできない原因は、3パターンが考えられます。
- ネットワークの問題
- パソコン側の設定の問題
- 共有フォルダ側の設定の問題
問題点を切り分け、接続を確認しながら、現象に合わせて対処を進めます。特定のパソコンだけがアクセスできない場合、トラブルが起きる前の状態にパソコンを復元し、問題が解決する場合もあります。
パソコンがWi-Fiのアクセスポイントを検出しない
パソコンが、Wi-Fiのアクセスポイントを検出しない場合は、以下の原因が考えられます。
- パソコン側でWi-Fiが「無効」になっている
- 「ワイヤレスネットワーク接続」がオフになっている(Windows 10の場合)
- 機内モードになっている など
また、進歩するWi-Fi規格に、パソコン側が対応していないケースも見られます。原因をひとつひとつ確かめながら、究明します。
迅速な解決のために押さえたいトラブルシューティングのポイント
トラブルシューティングには、起きた問題の迅速な解決が求められます。質の高いトラブルシューティングのポイントを4つ解説します。
トラブルの日時と場所、頻度、内容を特定する
トラブルシューティングでは、トラブルが起きる日時・場所・頻度・内容の特定を大切にしましょう。トラブルの法則性や起きやすい環境の発見は、問題の原因究明に有効なためです。
近くから遠くへ、下流から上流へと、多面的に検討してください。
消去法の原理を利用する
トラブルシューティングでは、消去法の考え方を利用します。シンプルでわかりやすい原因から追及を始め、問題が解消しなければ次の可能性へと進みましょう。現状の把握と問題解決を効率的に進められ、トラブルの早期解消が期待できます。
暫定的な解決と恒久的な解決を切り分ける
トラブルシューティングは暫定的・恒久的の2側面で解決します。
暫定的は一次的な解決策を指し、恒久的とは同じトラブルの再発を回避する根本的な解決です。2段階に分けることで、まず目先の問題を解決し、そのうえで永続的な発生を落ち着いて回避できるようになります。
トラブルシューティングマニュアルを策定する
トラブルシューティングの事例や解決できた知見は、マニュアルにまとめましょう。マニュアル化により、経験がない人でも均質な対応ができるようになります。トラブルシューティング経験者の異動・退職に伴う引継ぎも容易です。
トラブルシューティングを用意するメリット
トラブルシューティングを用意しておくと、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。3つの観点から解説します。
トラブル解決のスピードを向上できる
トラブルシューティングは、問題解決のスピードが向上します。トラブルシューティングが、問題解決に有効な手段を的確に提示するためです。ホームページで公表しておけば、ヘルプデスクの休業日に起きたトラブルにも対処できるようになります。
トラブルシューティングの対応品質を平準化できる
トラブルシューティングは、トラブルに関する知見の属人化を防止します。問い合わせを受けたすべての人が、同じクオリティで対応できるようになるでしょう。基本的な回答例も合わせて用意しておけば、誤答も回避できます。
トラブルに関する問い合わせ数の減少につながる
実際に起きるトラブルは、少しのアドバイスで解決できるものも多々あります。トラブルシューティングによって自力解決できる人も多いため、トラブルに関する問い合わせの減少にも寄与します。ヘルプデスクに必要なリソースの削減にもつながるでしょう。
適切なトラブルシューティングを実現するために
質が高く、トラブルに的確に対処するトラブルシューティングを実現するポイントを3つ解説します。
トラブルシューティングの対処プロセスを体系化する
トラブルが起きる度に最初から対処プロセスを構築すると、エンジニアが疲弊します。頻発するトラブルへの対処、基本的なトラブルシューティング工程は、体系化しておきましょう。毎回新たにプロセスを考える必要がなく、円滑に対処できるようになります。対処プロセスを体系化すると、エンジニアの技術力に依らず、一定の品質で対処できる点もメリットです。
優先順位付けと具体的な対処法をまとめる
優先順位が低い小さなトラブルまで逐一、即時対処すると、無駄なトラブルシューティングが増え業務が増え続ける恐れがあります。トラブルには、優先順位をつけて取り組みましょう。優先順位の基準は、問題の重要性や影響範囲、解決までの所要期間などです。併せて、優先順位が低いトラブルへの対処も検討します。
トラブルシューティングに役立つツールやサービスを導入する
トラブルシューティング用のツールやサービスも、多くリリースされています。自社に合ったツール・サービスを導入し、社内のリソースを軽減する取り組みも重要です。保守ツールやログ管理ツールは、トラブルの早期解決に役立ちます。また、トラブルシューティングのためのエンジニアを外注する方法もおすすめです。
まとめ
トラブルシューティングは起きたトラブルの解決と、想定されるトラブルへの対処をまとめた情報です。問題の早期解消のため、またトラブル解決に関わるリソース削減に役立ちます。自社でトラブルシューティングの全体を網羅できない場合、あるいはプロの知見を活用したい場合は外注を検討してもよいでしょう。
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