トラブルシューティングのプロセスは3段階|実施する際のポイントも解説

現在の職場でトラブルが発生したため、トラブルシューティングを行うことになったものの、対応経験がない場合はどこから手をつけてよいか分からず、お困りのこともあるでしょう。

そこで本記事では、トラブルシューティングの概要やそのプロセスについて解説していきます。またトラブルシューティングを実施する際のポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

トラブルシューティングについての基礎知識

まずはトラブルシューティングとはどのようなものか、基本を押さえておきましょう。

トラブルシューティングとは

トラブルシューティングは、トラブルシュートとも呼ばれ、問題が発生した際に発生原因を見つけ出して取り除く作業を指す言葉です。また、トラブルに対する解決方法を記したマニュアルを意味する場合もあります。

トラブルシューティングは幅広い分野で使われる言葉です。身近なものでいえば、家電の取扱説明書の巻末に記載されている「故障かと思ったら」「お困りのときは」などが該当します。なお、IT分野ではコンピューターやアプリケーションに関する問題解決に、使用されるのが一般的です。

トラブルシューティングの意義

トラブルシューティングの意義とは、利用者の被害を最小限にすることです。技術面や運用面から問題の解決策や回避策を考え、利用者の被害が大きい問題から順に解決していきます。

また、重大な問題であれば技術者が直接対処する必要があるものの、簡単に解決できるものまで技術者が対応していると、無駄や負担が多くなってしまいます。それらを解決するためにトラブルシューティングが必要です。さらに問題への初期対応を正確に行うためにも、トラブルシューティングは必要だと考えられるでしょう。

トラブルシューティングのプロセス

トラブルは表面的には同じ現象に見えても、発生原因が異なる場合もあります。さらに経験則による対処は、状況を悪化させる可能性が高く危険です。そのため、トラブルシューティングは以下のプロセスに沿って進めるとよいでしょう。

状況把握と問題の特定

まずは問題の発生範囲や現象の確認や、問題が再現される条件を探します。状況把握では、正常である範囲と異常である範囲を明確にして、正常な範囲を広げていきながら異常箇所を把握していきましょう。

この考え方は原因特定の漏れを防止して、部分的復旧をするのにも役立ちます。原因の切り分け作業は、手間がかかるものの、トラブルシューティングにおいて重要な工程です。後述するトラブルシューティングの原則も参考に進めていきましょう。また、問題の発生条件を見極めることも大切です。発生条件には、時間帯や特定の作業・動作などがあります。

仮説の立案と検証

原因が特定できない場合は仮説を立て、その仮説を1つずつ検証していく必要があります。仮説の立案例としては、サーバーの異常やネットワークの遅延、プログラムのエラーや利用者側の問題などがあります。なお仮説の検証方法は、サーバーのログやプログラムのコードを調べる、ツールでネットワークの通信状態を監視するなどです。

検証時の注意点として、仮説は誤っている可能性があることや、事態を悪化させる場合もあることを覚えておかなければいけません。そのため、仮説を検証では元の状態に復元できるようにして検証する必要があります。

対策の実施と監視

仮説の検証が完了したあとは、問題に対して解決策を実施していきましょう。実施する際は、考えられる解決策を同時に試すのではなく、1つずつ試していき、原因を特定できるようにします。

問題が解決できたら、再度問題が起きないか状況を再現してみたり、利用者からフィードバックしてもらったりして、トラブルが無事に解消されているかを確認します。また、ほかに新たなトラブルが発生しないか監視するのも重要な作業です。

トラブルシューティングの原則

トラブルの原因を突き止めるには、次の3つの考え方をもとに進めていきましょう。

1つずつ結果を確認する

動作確認をする際、複数の原因が考えられる場合は1つずつ確認していく必要があります。複数の原因をまとめて確認すると、ひとつひとつの仮説があっているか分からなくなり、問題が発生している箇所を見逃してしまい、検証の時間を無駄にする可能性があるからです。また、検証は実際に動作させて結果を見ることが重要です。

近くから遠くの順で確認する

原因を分析する際は、問題が発生している箇所に近い部分から、正常か異常かを確認していきましょう。たとえば、パソコンで問題が発生している場合は、パソコンからHUBへ、HUBからルーターへ、と順に確認範囲を広げていきます。

下から上へ確認する

問題を機能面から確認する場合は、下層から上層へと確認していきましょう。まずは基礎となるハードウェアに異常はないか、次にネットワークに異常はないかなど、ベースから順に確認していきます。

トラブルシューティングを実施する際のポイント

トラブルシューティングを行う際に、押さえるべき4つのポイントを解説します。実施する際の参考にしてください。

優先順位を決める

まずは、トラブルシューティングをするにあたり、問題対処の優先順位を決めていきます。優先順位を決めておく理由は、大量の問題が発生した場合でも効率よく対処を進めるためです。優先順位の決め方は、トラブルの重要性やその影響範囲、対処の難易度などを参考にしましょう。

作業計画を作成する

次にトラブルシューティングを実施する担当者が、問題対応の作業計画を作成します。担当者が作成すると解決方針や必要な作業が明確になるため、目的が曖昧なまま進めて問題解決が失敗するリスクを減らせます。

また、管理者とトラブルシューティングの担当者が異なる場合は、管理者による作業計画のレビューが必要です。作業計画で決める内容としては、実務やレビューの担当者名、作業の内容やスケジュールなどが挙げられます。

段階的に対策を講じる

トラブルシューティングの対策は、次の2つに分けて進める必要があります。まず暫定措置は応急措置とも呼ばれ、被害を最小限にするために行う一時的な措置です。そして恒久措置とは、根本的解決とも呼ばれ、同じトラブルを再び起こさせない再発防止策までを考える措置です。

原因分析や解決に時間がかかる複雑な問題では、応急措置を優先します。そして同じ問題が多発する場合は、恒久措置まで行うようにしましょう。

マニュアルの作成

問題が解決したらそのままにせず、トラブルシューティングに関するナレッジを体系化し、マニュアルを作成するようにしましょう。マニュアルを作成しておけば、問題解決の知識を共有できるため、次にトラブルが発生したときに迅速な対応ができるようになります。

また、マニュアルがあれば専門知識がない場合や、担当者が早急に対応できないときにも、トラブルシューティングが行えるようになります。そのためマニュアルは、専門知識を有していない人や、新人でも分かるような内容にしておきましょう。

ツールやサービスの導入

トラブルシューティングの効率化には、ツールやサービスを活用するのも1つの手段です。専門のツールやサービスは市場に多く存在し、OSによってはトラブルシューティングのツールが、搭載されている場合もあるでしょう。

ツールやサービスを効果的に使用し、ログ管理・監視ツールによって異常を検知することで、問題の早期解決が可能になります。また、リモートアクセスツールを導入すれば、現場に行かずとも遠隔地から、トラブルシューティングを実施できるようになります。

まとめ

トラブルシューティングは、プロセスを参考に進めて行くことで、問題の見落としを防ぎ効率的に問題を解決できます。またトラブルが解決したら、同じ事象が起きたときのためにマニュアルを作成したり、ツールの導入を検討したりするとよいでしょう。

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