派遣労働者とは?基礎知識や2021年の改正内容を解説
派遣労働者を受け入れる際には、派遣についての概要を押さえておく必要があります。当記事では、派遣労働者・労働者派遣事業者の概要や2021年に実施された法改正の内容などについて解説します。派遣労働者について理解を深めたい人は参考にしてください。
Contents
派遣労働者と労働者派遣事業者とは
派遣労働者とは、雇用契約を結んだ派遣元の指示で派遣先へ赴き、派遣先の指揮命令に従って働く労働者のことです。賃金は、派遣元事業主から労働者に支払われる点が特徴です。ここでは、派遣労働者と労働者派遣事業者の概要について解説します。
派遣労働者とは
派遣労働者とは、雇用契約を結んだ派遣元の指示で派遣先へ赴き、派遣先の指揮命令に従って働く労働者のことです。
労働者は派遣元事業主と雇用契約を結び、その指示に従って派遣先へと赴きます。賃金については、派遣先は派遣元事業主へ派遣料金を支払い、派遣元事業主はそのなかから労働者に賃金を支払う形です。
労働者派遣事業者とは
労働者派遣事業とは、派遣元事業主が雇用する労働者を、自社とは別の派遣先に派遣して働かせる事業のことを指します。この事業を営む者が、労働者派遣事業者です。
この事業は、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)によって規制されています。この法律は、派遣労働者の権利を守るとともに、派遣事業の適正な運営を目的としています。
労働者派遣と業務委託の違い
業務委託は、委託者と受託者の間で雇用関係を持たず、特定の業務を受託者に依頼する契約のことです。具体的には、請負契約、委任契約、準委任契約などがあります。
一方、労働者派遣は、派遣元事業主と派遣労働者の間に雇用関係が存在し、労働者は指揮命令のもとに業務を遂行します。労働者派遣と業務委託のもっとも大きな違いは、指揮命令権の有無にあるといえるでしょう。
派遣の雇用形態
ここでは、派遣の雇用形態について解説します。
登録型派遣
登録型派遣とは、労働者があらかじめ派遣元事業主に自身の希望や条件を伝え、その内容に合致する派遣先を紹介してもらう形態を指します。この場合、派遣先が決定した時点で初めて雇用契約が結ばれます。つまり、ただ登録を行っただけでは、派遣元事業主との間に雇用関係は成立していません。
常用型派遣
常用型派遣は、派遣労働者が派遣企業の正社員として直接雇用されたうえで、他の企業へ派遣される雇用形態です。派遣期間が終了しても派遣元事業主と労働者派遣の間の雇用関係は継続します。
したがって、一つの派遣先の業務が終了した後も、派遣労働者は派遣元企業の従業員として残ることができ、新たな派遣先での業務に就きます。派遣労働者にとっては雇用の安定性が担保される、派遣元企業にとっては資質やスキルの高い労働者を継続して雇用できるといったメリットがあるでしょう。
紹介予定派遣
紹介予定派遣は、派遣期間の終了後に、派遣労働者と派遣先企業の双方の合意に基づいて、正社員または契約社員として直接雇用することを前提とした派遣形態です。
この形態のメリットは、最大6か月の派遣期間中に派遣先企業が派遣労働者の働き方や能力を実際の業務を通じて見極められる点にあります。派遣労働者は期間内に自身の能力をアピールし、希望する企業に正社員として採用されるチャンスが得られます。
派遣労働者を活用するメリット
ここでは、派遣労働者を活用するメリットについて解説します。
コストを削減できる
派遣労働者を活用することで、採用に関連するコストを削減可能です。通常の採用活動には、求人広告の掲載費用やコーポレートサイトの情報更新、面接のための人件費など、多くのコストがかかります。
しかし、労働者派遣の場合、これらの支出を気にする必要がありません。また、採用に関する事務の手続きや書類作成の工数も大幅に削減できるため、全体的な運営コストも低減できます。
人材不足を解消できる
派遣労働者を活用すれば、人材不足を解消できます。突然の退職や休職などで従業員が働けなくなった場合でも、派遣労働者を活用すれば、業務の遅延や滞りを防げるでしょう。
さらに、正社員や既存の従業員がコア業務に専念しやすい環境を整えることも可能です。これにより、企業の業績向上や生産性向上の効果が期待できます。
派遣労働者を活用するデメリット
ここでは、派遣労働者を活用するデメリットについて解説します。
契約範囲外の業務を依頼できない
派遣労働者を活用する際、依頼する業務内容は契約においてあらかじめ定められています。契約範囲として設定された業務以外のタスクを派遣労働者に依頼することはできません。たとえば、事務作業の派遣で契約を結んだ場合、営業業務の依頼は不可能です。また、労働条件や派遣期間を一方的に変更することもできません。
帰属意識が薄い
派遣労働者は、自社の従業員と比較して帰属意識が低い傾向にあります。派遣労働者はあくまで一時的に業務をサポートする存在であり、自社の文化や価値観に深く根付いているわけではないためです。そのため、企業のビジョンやミッションに対する熱意や献身が期待しにくい場合があります。
さらに、契約上残業することが難しい可能性やコンプライアンス・セキュリティ上の教育をしっかり受けていない可能性がある点も留意しておきましょう。
労働者派遣法の2021年の改正内容
2021年に労働者派遣法は改正されました。ここでは、その改正内容を解説します。
教育訓練の説明義務
2021年の労働者派遣法の改正により、派遣労働者と雇用契約を結ぶ際に「教育訓練」や「希望者を対象に実施するキャリアコンサルティング」に関する詳細な説明が必要とされるようになりました。
改正の背景には、派遣労働者が安定したキャリアを形成していけるよう、必要な情報やサポートを受けられる環境を整えたいとの目的があります。これにより、派遣労働者が将来のキャリアパスを考える際の選択肢を増やし、よりよい雇用環境を実現できる可能性が高まりました。
派遣契約書の電磁的記録の容認
労働者派遣契約に関して、従来は書面による手続きが一般的であり、電磁的記録は認められていませんでした。しかし、2021年の法改正により、電子化が認められるようになりました。
この変更には、企業間の契約手続きが大幅にスムーズになる効果があります。デジタル化が進む現代において業務の効率化や時代のニーズに応える形となり、多くの事業者にとって利便性が向上すると考えられます。
派遣労働者からの苦情の処理について
2021年の労働者派遣法の改正により、派遣労働者からの労働関係法上の苦情に対して派遣先企業も対応する義務が新たに設けられました。
これまでは、派遣労働者が労働条件や待遇に関して不満を持った場合、窓口として主に派遣元企業が対応をしていました。しかし、この改正によって派遣先企業も苦情の解決に関与することとなり、より派遣労働者が働きやすい環境整備が進んでいます。
日雇派遣について
2021年の労働者派遣法の改正により、労働者派遣の契約が解除された場合に派遣元企業は各種対応をしなければならない義務が課されました。具体的には、就業機会を確保する、休業手当を支払うなどです。この改正により、日雇派遣労働者が不安定な雇用環境に置かれるリスクが軽減されています。
派遣労働者を活用する際の注意点
ここでは、派遣労働者を活用する際の注意点について解説します。
3年ルールを把握しておく
労働者派遣契約は、同じ企業で3年以上働くことが原則できません。このルールは、下記2つの制限に分けられます。
- 事業所単位の制限:同一の事業所で3年を超えて派遣労働者を受け入れられない
- 個人単位の制限:同じ派遣社員を同一事業所の同一組織単位に派遣できるのは3年まで
ただし、年齢が60歳以上、無期雇用派遣契約で働いているといったケースには適用されません。
事前面接は禁止されている
労働者派遣契約を活用するにあたり、派遣先企業が直接派遣労働者に面接を実施することは、労働者派遣法によって禁止されています。これは、派遣元企業が労働者を選別する権利を持っているためです。
しかし、派遣労働者が職場の環境を事前に確認するための職場見学は推奨されています。これにより、派遣労働者自身が職場で働くイメージを具体的に持てるため、よりスムーズな業務開始が期待できます。
まとめ
派遣労働者を活用する際には、派遣に関わる基礎知識をあらかじめ把握しておきましょう。そのうえで、どのように自社で活かしていけるのかを考えることが大切です。
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