歩留まり計算表はどうつくる?言葉の意味や計算方法について解説

生産性を高めるためには、歩留まりへの理解が重要です。当記事では、歩留まりの概要や歩留まり率の計算方法について解説します。歩留まりについて詳しく知りたい人は参考にしてください。

歩留まりとは

歩留まりとは、生産量に対する完成品の割合を示す言葉です。原価を抑えるためや生産性を上げるための指標として用いられます。特に、製造現場でよく使われています。

歩留まりを計算すれば、原材料コストなどを把握可能です。そのため、製造現場だけではなく、全体に対する成果の割合を図るためにさまざまなビジネスシーンで応用されています。

歩留まりの語源

歩留まりの「歩」は「歩合」からきています。また、「留まり」は「たまる」を意味する言葉です。この言葉を組み合わせた言葉が「歩留まり」です。利益につながる「取り分(良品)」が「溜まる」、すなわち「利益が残る」割合を表しています。

歩留まりは製造現場以外でも用いられる言葉

歩留まりという言葉は、製造業において原材料の投入量に対する製品の出来高を示す際によく使われます。

また、製造現場以外でも幅広く応用されている概念でもあります。特に、採用活動や営業活動などのビジネスプロセスで重要な指標です。

たとえば、採用活動における歩留まりは、採用フローの各ステップで次の段階に進んだ応募者の割合を示します。応募者のうち何名が書類選考を通過し、何名が面接を受け、その結果何名が内定を受け入れたかといった流れを数値で捉えることで、採用プロセスの効率や課題を明確にできます。

歩留まりの重要性

歩留まりは、作業の効率性を評価するための重要な尺度です。特に製造業では、原材料に対してどれだけの良品が生産されたかを示すため、生産プロセス全体の効率を図る指標として用いられています。

歩留まりは、品質やコストにも影響を与えるものです。高い歩留まり率を維持すれば、製造コストの削減や品質の安定を図れるでしょう。また、今後の生産計画や原材料の発注量を決める助けにもなります。

歩留まり率の計算方法

ここでは、歩留まり率の計算方法について解説します。

歩留まり率とは

歩留まり率とは、文字どおり「歩留まり」を百分率で表したものです。

ここでは例として、下記の場合を考えてみましょう。

  • 製造する合計数を50とする
  • 良品数が40、不良品数が10

この場合、歩留まり率は80%です。詳しい計算式については、後述します。

歩留まり率は、製造業の製品開発や生産管理において重要な指標です。

歩留まり率の計算方法

歩留まり率の計算方法は、以下のとおりです。

【計算式】
完成品数÷原材料数×100=歩留まり率(%)

たとえば、100個の原材料を使用して80個の完成品ができた場合、歩留まり率は以下のように計算されます。

【計算例】
80÷100×100=80%

この例では、歩留まり率は80%となります。

歩留まり率と良品率の違い

歩留まり率と混同しやすい指標に、良品率があります。

良品率は、生産数に対する良品数の割合です。「良品数÷完成品数×100」で計算されます。歩留まりが原料に対する完成品の割合を表すのに対し、良品率は完成品に対する良品の割合を表しています。

歩留まり率が高い・低いことによる影響

ここでは、歩留まり率が高い、もしくは低いことによる影響について解説します。

高い場合

歩留まり率が高いということは、製造工程において不良品が少なく、原材料が効率的に使用されている状態です。製品の廃棄が少なくなるため、コスト削減が可能となり、企業の収益性が高いと判断できます。無駄な廃棄が減れば、その分、利益は多く上げられます。そのため、歩留まり率は100%に近いほどよいとされています。

低い場合

歩留まり率が低い場合は、効率の低下や不良品の増加が発生していると想定されます。投入した原材料に対して完成品の数が少ないため、ロスの原因究明や改善策の実施が課題となるでしょう。

不良品が増加すれば、企業への信頼性や製品の品質が落ちてしまいます。ひいては、顧客満足度や企業の評判に悪影響を及ぼす恐れもあるでしょう。

歩留まり率が悪化する原因

歩留まり率が悪化する原因には、主に以下の2つが考えられます。

  • 不良品が多い
  • 材料ロスが多い

ここからは、それぞれの原因について解説します。

不良品が多くなる原因

不良品が多くなる原因には、さまざまなものが考えられます。

  • スキル不足
  • ヒューマンエラー
  • 指示書の誤り など

特に、製品開発段階で設計見積もりが甘いと、不良品が多くなる点に注意しましょう。

また、ヒューマンエラーが原因の場合は、作業の難易度が高すぎる、マニュアルが整っていないなど、ヒューマンエラーが起こる理由まで考える必要があります。

材料ロスが多くなる原因

材料ロスが多くなる原因も複数考えられます。

  • 金型設計のミス
  • 不適切な原材料投入 など

材料ロスが原因の場合、生産現場での取り組み内容によっては、抑制できる可能性もあります。

製造業の基本はなるべくロスを減らすことです。自社の状況を適切に見極め、ロスを少なくできる施策を模索しましょう。

簡単に計算できる歩留まり計算表の作成もおすすめ

歩留まり率を改善したいと考えているなら、計算表の作成が効果的です。エクセルを使えば、簡単にデータを管理・分析できるだけでなく、視覚的に理解しやすい表やグラフを作成可能です。

エクセルを用いる場合は、以下のような表を作成するとよいでしょう。

製品名良品数不良品数合計数歩留まり率
A50106083.3%
B3053585.7%
C7077790.9%

歩留まりの改善方法

ここでは、歩留まり率が低い場合の改善方法について解説します。

目標を適切に設定する

歩留まり率を改善するときには、まず目標を適切に設定します。

歩留まり率は高ければ高いほどよいですが、初期段階から100%を目指すのは困難です。段階的に目標を設定し、徐々に数値を伸ばしていくことをおすすめします。

また、数値目標を達成するための具体的な方法の策定や、目標達成の期日の設定も重要な取り組みです。

不良が発生する原因を明らかにする

次に、不良が発生する原因を明らかにします。

不良が発生したり歩留まり率が低下したりする要因は、状況に応じてさまざまです。まずは、4M(Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法))の観点から状況整理するとよいでしょう。

4Mを通して原因を究明したうえで、必要な対策を取る必要があります。

マニュアルを作成する

歩留まり率を改善するためには、マニュアルの作成も重要です。特に、ヒューマンエラーを減らしていくためには、業務の標準化が欠かせません。

社内体制や管理体制を強化すると、従業員がマニュアルを遵守するようになるでしょう。まずは、体制の見直しから着手してみてはいかがでしょうか。

IoTやAIを導入する

IoTやAIを導入する取り組みが、歩留まり率の改善には有効です。特に、ヒューマンエラーの防止に役立つでしょう。

たとえば、生産ラインにIoTセンサーを取り付けて大量のデータを集約し、生産工程の最適化を図るといった取り組みが考えられます。また、不良品の発生原因を検知するシステムの導入も有効です。

まとめ

生産性を高める取り組みに力を入れたいなら、歩留まり率に注目しましょう。歩留まり計算表をつくるといった取り組みを通して、適切にデータを取り扱い、新たな施策を打つために有効活用することをおすすめします。

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